26話 ページ27
レイジside
「大したことじゃないって、遊びにきだけ」
そう言っていつものようにヘラっと笑うA。
……“いやいつも通り”じゃなくて“いつもなら”の方が正しい。
あんなに引き攣った表情の笑顔を見たのは初めてだ。
「…京介のことか」
Aの方がピクっと跳ねる。それからしばらく無言になると「レイジさんはなんでもわかるんだね」なんて言って、ため息を大きくついて苦しそうに笑う。
「烏丸がわかんないよ。急に距離置かれてさ、隣にいない分の違和感が凄くてね。でも一緒にいると息つまりそうになるんだ。昨日「好きだ」って言われたのも冗談のはずなのにさ、私馬鹿だから真に受けちゃって…… もう頭の中ぐちゃぐちゃでなんにもわかんない」
「どうしたらこの違和感は消えるの？」と、弱々しく聞いてくるAがより小さく見えた。
Aが恋愛系に疎いのはみんな知ってる。京介とは仲良くしていたからこそ、その関係が変わってしまうのが不安で怖くて自然と拒んでいたとか。もしかしたら気持ちに答えられないからとか……そういうことなんだろう。
こうしてみれば、彼女も気づかなかった自身の恋心に振り回される1人の女子高校生。よくある話じゃないか。
そう思うとどうしても年の離れた妹のような感じがして。思わず笑いが零れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 350人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
じゆんきむ(プロフ) - この作品を昔読ませて頂いていてすごく好きで久しぶりに読みたくなって探したのですが、続編が消えてしまっていました、、もし作者の方が見れるようでしたら続編復活してして欲しいです！！ (11月1日 22時) (
レス) id: b4c10966c3 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 木戸司令じゃなくて城戸司令ですよ！ (2020年12月11日 22時) (レス) id: e84559c347 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とーすと | 作成日時：2020年4月6日 14時
