31：戦闘開始 ページ32
立体機動の動きを駆使し、周辺の木を飛び回る。
エレン巨人に注意しながら、私は“ある事”を始める準備をした。
フードを被っていたから、人間だよ...ね？
ヒントはこの“涙”だ。この忌々しい涙が役に立つ時が来るとは...
過去に合った悲しい事、全部を思い出す。
お父さんお母さんが亡くなった事。
幼少期の頃、子供一人で生きて行く事の辛さを知ったあの日。
私は一族のたった一人の生き残りだと悟ったあの瞬間。
これだけあれば十分だろう。さて、肝心の涙は...
ﾂｰ...
出た。風で涙の通った部分だけ冷たい。
コイツの出番が来た時の為に持っていた小瓶を取り出す。
涙を小瓶に溜め、女型の巨人に迫る。
さっきから見てはいたが、格闘術のような技を連発しているな...
女型の巨人の腕が、パンチで伸びきった時がチャンスだ。それまで気づかれずに迫りたい。
エレンはまだ大丈夫そうだが、これは早めにやらなければ意味が無い。
しかも蹴り技を連発しているし...
と思ったその時、女型の巨人はパンチをし、腕を伸ばした。
今だ！
女型の伸びきった腕に飛ぶ。瓶の蓋を開け、中の紅い涙を関節部分にぶちまける。
大した時間稼ぎにはならないかもしれないけど...やる価値はあると思う。
途端に女型の関節部分が溶けていく。そう、干からびるのではなく“溶ける”のだ。
私が掛けたのは左腕だ。
関節部分が溶ければ、そこから先は支え場を無くし、落ちる。
片腕一本無くせば、戦闘が有利になると思ったのだが...
エレンは目を見開いていた。驚いたようだったが、瞬時に頷く。
私も頷き返す。樹木まで飛び、次の攻撃の準備をする。
だが...
女型は私の存在に気づくと、エレンに向かって右腕を振り下ろす。
エレンの首はぶっ飛び、首元がまる見えの状態になった。
「え...？」
女型は左腕が溶けたのを見て、もうエレンを殺してしまおうと考えたのだ。当たり前だ。
でも、私の体は動かない。
自分の選択の過ちで、エレンが喰われる。
「まっ、待ってよ...」
女型は口を大きく開け、うなじを千切り、中のエレンを引っ張り出した。
エレンは何も抵抗が出来ない状態だった。さっきの衝撃はダメージが大きかったのだろう。
「エレン！！」
「え...？」
彼女は...ミカサだったっけ？
凄い勢いで飛んで来る。
でも...
ﾊﾞｷｯ
あ...
「食べられ...ちゃった...」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 時雨 サトさん» え？！本当ですか！ありがとうございますm(_ _)mｺﾞﾂ！とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年5月22日 18時) (
レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 サト - 抹茶タピオカ2号さん» 観覧ありがとうございます！抹茶タピオカ2号さんの作品も見させて頂いております！ビックリしすぎて発狂しそうです←ｷｬｱｱｱｱ(( (2020年5月22日 15時) (レス) id: bf2420a828 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年5月21日 16時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：時雨 サト@ギガ容量が絶滅危惧種 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2020年5月20日 15時
