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一段落して、家入がまた永広に話しかけた。
「答えたくなきゃ答えなくていいんだけど、永広の術式って何?」
「…私の?」
「あーほら、居るじゃん。自分の術式ベラベラ喋るヤツと喋んないヤツ。言いたくなきゃいいよ」
永広は少し考えてから、口を開いた。
「麻酔みたいなもの」
「え?」
「私の祖母の遺書に、私の術式の事が書かれていた。それによると、痛覚が無い事、瀕死から仮死状態へ移れる事、そしてとてつもなくゆっくりな反転術式…らしい」
「めっちゃややこしいね」
「私も操れていない。回復するまでの間、蝶が出てくるとも書いてあったけど、それすら自分で見た事が無い」
「そりゃ死んでたら見れないか」
永広は自分の手を強く握って、爪を立てた。気付いたら血が出ている。
「私には痛覚が無い。だから、これも痛くない。それはいい。けど、こういった少しの怪我も治せたらいいのにって思う」
「あー、反転術式ね。私使えるよ」
「本当?」
「まぁね」
「凄い、なかなか出来る事じゃないって聞いた事がある」
家入が、見ててよと言うように術式を使った。永広の手のひらの傷が癒えていく。
「割と簡単だよ、センスあればいける」
「センス」
「そ、センス」
分からないというように首を捻る永広。分かって出来たら苦労しねぇよと五条がツッコんだ。
「そもそも、オマエが術式使ってるとこ、見た事あるし」
その一言に、全員が「え?」と声を漏らした。特に永広は目を大きく見開いて五条を凝視している。
「どんな感じだった…?」
「どんな感じって、なんか蝶がオマエの死体に群がってただけ」
永広は村に五条が滞在している間に、首を吊った事を思い出して「あれの事か」と呟く。
「死体って…何があったらそんな話に?」
「コイツ、首吊りが趣味だから」
「随分マニアックだね」
「違う、趣味じゃない」
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作成日時:2021年3月9日 0時