第78話 ページ34
段ボールの蓋をカッターで開けると、中には男物の服やカバン、靴、本などがたくさん入っていた。
私はこれらに見覚えがある。何より送り主がわかった時点でなんとなく予想していた。
『これ全部、ヒロが使っていたものです。』
諸「景光が使っていたもの、ということはこれは景光の遺品なんですね。」
送ってくれたのは降谷さん。きっと元々は私が結婚したらこの家に送る予定だったけど、この前同棲を始めたって言ったからもう送ってくれたんだ。
ヒロが使っていたものが全て送られてきて二人とも大喜び。ただ、下着まで入ってたことには高明さんも苦笑いしてた。
諸「これはギターでしょうか？」
一番大きな段ボールには黒いギターケースが入っていた。
『ベースです。ヒロはベースがすごく上手だったんですよ。』
ベースをギターケースから取り出した。白いベースは少しも古びることなく、昔と変わらず光沢を放っていた。
少し弦を弾くと音がきちんと出たので、ドレミを弾いてみた。
諸「Aさんもベースが弾けるんですか？」
『ヒロに教わって少しだけ。暗譜してるのはこの曲くらいです。』
ベースを構えてヒロに最初に教えてもらった曲、ふるさとを弾いた。ただ弾くだけではなく英語で歌詞を歌いながら。
弾き語りの最中、ヒロが降谷さんと一緒にベースを弾いていた姿や私に手取り足取り弾き方を教えてくれたことが鮮明に脳裏に蘇ってきて、目から涙が溢れた。
弾き終えてから目の前に広がるヒロの遺品の数々を見ると、やっぱりヒロは死んでしまったんだと実感する。
諸「歌が上手ですね。太閤名人の話では、Aさんは歌が上手いのに人前では決して歌わないと聞きましたが。」
『確かにそうですけど、今日は特別です。』
ベースを持ったまま高明さんの横に座り、もう一度弦を弾いた。
『このベースは私がヒロと初めて出会った時にヒロが背負ってたんですよ。だからこの中で一番古いと思います。』
諸「それならこのベースは特に思い出深いものですね。」
『そうですね。送り主に感謝しないと…』
ヒロの遺品は全て、空いている一部屋に保管した。段ボールのままではなく、まるでヒロがここで生活しているかのように、服はハンガーにかけてクローゼットにしまい、ベースはケースから出して部屋の隅に飾った。
全てが解決したら私と高明さんと降谷さん、ついでにお兄ちゃんも交えてこの部屋でみんなでヒロの思い出を語り合いたいな。
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おひたし(プロフ) - 名無し65455号さん» ご心配ありがとうございます。私の地域は雨風が強いだけで被害はありませんでした。今日は台風一過でとてもいいお天気です。まだ台風の影響で被害が出ているようなので心配ですね。 (2019年10月13日 9時) (
レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
名無し65455号(プロフ) - こんばんわ久しぶりで夏以来の更新で嬉しいですこちらの台風19号は被害大丈夫ですか？私も被害も有りませんが夜の10時すぎたいぶ落ち着いています。 (2019年10月12日 23時) (レス) id: d7c3512a33 (このIDを非表示/違反報告)
おひたし(プロフ) - 架印�靴気�» やっぱり癖は抜けませんよね。私自身も長年茶道をやっていて、とある人に拭く癖を指摘されたことを参考にこの事件を作りました。 (2019年10月12日 18時) (レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 高校生の時、茶道部に入っていた為か、出されたお茶碗の縁を指で拭く癖が私もついていて、ついついやってしまいます。 (2019年10月12日 16時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
おひたし(プロフ) - 名無し65455号さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてすごく嬉しいです！ (2019年10月4日 8時) (レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おひたし | 作成日時：2019年8月20日 16時
