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初めはお揃いのマグカップだった。台所のすぐ目に付くところに置いてあるはずの俺達のお揃いのマグカップが、そこにはAの分の一つしかなかった。
あれ？俺使ったまま片付けてない？
そんな事はないはずだ。なぜならもし俺がそうしててもAが片付けてくれるはずだから。
Aの朝の家を出る時間を把握しておいて、会わないように二人で住む家に朝帰り。何故かって、ヌナと昨日会ってきたから。
自分のしていることに自覚はある。
最低な事だってことも十分わかってる。でも、それでもヌナを好きになってしまう気持ちを止めることが出来なかった。Aという存在にマンネリを感じてきてしまっている俺がいた。
Aは初めてあった時から、気配りがよく出来て、でも自分をきちんと持っていて、とにかくしっかりしてて。俺とは違う会社の受付嬢で、会社の所謂顔を務める彼女は男にも耐久があって。
どちらかというとモテる側の俺が攻めたという事実に自分でもびっくりしている。しっかりしている女という珍しい存在に強く心惹かれたのだ。
Aとは付き合ってからも、彼女のよく出来た精神に何度も助けられた。営業の仕事に失敗した時も、ムカつく上司にこっぴどく怒られた時も、父さんが死んだ時も、他にもいろいろ。
ベクちゃん、と俺の事をそう呼んでそばに居てくれた。
それでいいはずだった。
はずだったのに、やっぱり俺は馬鹿なんだなと実感した。
「テニヌナ･･･」
「ベッキョン･･･」
「ベッキョン、あ、べ、く、」
「っ･･･、ヌナ、ベクって呼んじゃだめ」
目の前のヌナにダメ、と口に手を当てる。ヌナは別にいいじゃないと言うけれど、ヌナにベクと呼ばれるのはどうしても抵抗があった。
ベクと呼ばれると、Aのことを思い出してしまうから。
俺にとってのAへの罪悪感が浮かぶのだ。
いつまでも愛称で呼ばせない俺に怒ったヌナがその日は俺を追い返したので、そのまま家に帰った。でも、その日、Aは家にいなかった。帰ってきたと思ったら隣にいたのは知らない男で、Aはあまりにも色っぽい顔をしてもたれかかっていた。
俺にそんな資格はないのに、思わずカッとした。俺の女に触るなって。
その日は久しぶりにAを抱いた。そこで俺は安心した。ああ、大丈夫。Aは俺の事が好きだって。
朝になってヌナから連絡が来ていた。俺はまた罪を犯しにAとの家を出た。
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りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
