なにわの白③【男主】 (ページ30)

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◆Ne pas aller ページ30

※西畑side

自粛期間は、敵だ。

俺にとって家に篭れるのは非常に嬉しい。
元々外に出ないから、普段の生活に支障は出ないし。
家にいても誰も文句は言わない。髪が伸びてうざったいだけ。

じゃあなんで敵なのか、赤子でも解ることを聞かないでほしい。

『起きて早々テレビ電話繋ぐんはええけど、風呂にまで持ち込んで…刺激強いわ』
「見るなアホ、えっち。変態」
『え～…？』

心地の良い声を聞きながら湯を流す。きっと向こうはうるさいに違いない。
好きな男に会えないなんて溜まったもんじゃない。溜まるって別に変な意味でもない。

無料通話アプリに感謝する日々が続く中、完全自粛が何日目だったか。
寂しさで死んでしまう俺はいつもAに電話をかけて、寝るまで繋いだままだった。

まるで遠距離恋愛中のカップルみたいで、楽しいような悲しいような。

『そもそも風呂めっちゃ音やばいねんで？うわ肌しっろ…』
「文句言いながらガン見してるやんか」
『自粛期間で大吾の恥じらいが薄れてて悲しいわ』
「じゃあ切ればええやん」
『切ったら泣くんそっちやで？』
「…アホ」

図星。

毎日のように会っていたから、今更会えない日があるなんて無理だった。
寂しくなれば俺の部屋に置きっぱにされてるAの私物を抱いて泣いたし、Aがいなくなる悪夢だって見た。

寂しかった。気付いたら自分はこんなに寂しがりになってた。
流星みたいに一人が嫌なんてなかったのに。

ただただAに会えないのが堪えたのだ。
こんなにも面倒くさくて弱い人間にしたAが悪いと毎日八つ当たりしている。