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「好きな相手のこと理解したいのは悪いことか？」
『うっわ、今のダメ。ときめいた。結婚する？』
「卒業したらな」
『今日野上がすっごくかっこいい！なんで？いや野上はかっこいいんだけど』
「なんか馬鹿にしてないか」
野上のほうが余裕そうでなんだか大人みたい。
まあ野上って恋愛初心者で思春期なだけで人間としては大人っぽいもんな。
くだらないことで笑いあってたら気が抜けたのか、自然と野上の手を取って歩いていた。
手を繋ぐことは初めてじゃないのに、好きあってからだと恋人みたいで変なこそばゆさ。
しかし野上、自分で言ったのに手繋いでから緊張か何かでガチガチになってる。
まだ慣れてないのかな、可愛いな。
『野上が手繋ぎたいって言ったのに』
「うるさいな」
『さっきまでの男気どこいったの？かーわい』
手を引いて甲にキスすると可愛い顔をする野上。
思わずスキンシップを取ってしまったけど、これ付き合ったら合法的になるのかな。
海岸が見え、迷わず波打ち際に野上を連れていった。
何も言わないから、海は嫌いじゃないんだと思う。多分。
潮の匂い、自然の匂いはやはり落ち着く。
足に触れる海水がほどよく冷たくて、帰ってきたんだなと改めて思う。
ああ、そうか。
海と言えば、そうだよな。
大声で愛を叫んでも許される場所な気がする。
野上の手を離して、ばしゃばしゃと海に入る。
後ろで不審な声があがったが、無視。
『野上ーー！！』
「なんだ急に」
『好き！世界で一番、大好き！』
「……ほんと、何考えてるかわからんやつ」
後ろから野上も俺のほうまで来て、声を出した。
その言葉に俺は嬉しくなって上がる口角が戻らない。
「知ってんだよバーーーカ！」
『野上より頭良いときあるよ』
「…元に戻ったな」
『えぇ？』
「さっきまで余所余所しくて気持ち悪かった。何を遠慮していた」
『だって…野上が俺の何を望んでて、何されたら嫌なのかわからなくて。傷つけたくないし、嫌われたくないし』
お前ってそんな弱気になるんだな、って顔で俺を見る。
そんな顔してても綺麗さが保たれてるんだから、野上はよっぽど美人だ。
顔で人を選ぶのは良くないって言うけど、普通に野上の顔が好み。
黙ってたけど、ここだけの話。
一目惚れと言っても過言じゃない、野上の纏う雰囲気ごとこの人に惹かれたんだから。
「お前がいればいい」
『え』
「お前が隣にいるなら、それ以外はいらない」
『の、がみ…？』
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