【メンズ校】Amour à l’infini ③【男主】 (ページ9)

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『の、がみさん』
野上「なんだ？」
『えっと……』

俺の後ろで花井と桃井が、のりりんって意外とピュアだ！って言っている。
うるさいな、好きな子が自分のこと好きって知ったら緊張するでしょうが。

『ちょっとお話が』
野上「？ああ…」

ムードもクソもなく呼び出してしまった。
外に出たほうが自由になれる気がして、野上の手を引っ張って部屋を出た。

　

牧「野上がさ、恋人同士って何するんだー！って悩んでたよ」
花井「わあ…青春だね」
桃井「やっぱり野上付き合ってると思ってるんじゃん」
牧「え？付き合ったんじゃないの？」
花井「のりりんは"付き合ってください"を言ってないからただの両想いだと思ってるよ」
牧「……宣杜って結構、鈍いよね」
桃井「だからこんな拗れたんだよ」
花井・牧「本当にそう」

　

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寮を出るまでは引っ張る形で歩いてたけど、寮を出てから野上が俺を軽く引っ張るので立ち止まる。

『野上？』
「…手」
『手？あ、ごめん痛かった？』

慌てて手を離して野上の手を擦る。
痛かったかな、俺思ってる以上に力入ってた？ド緊張じゃん、恥ずかしい。

「そうじゃない」
『？』
「はあ…前のお前なら勝手にやってたのに」
『え、俺なんかしたっけ』
「あー！もう！何なんだお前は！！」
『野上さん…？』
「手！繋いで！喜んでたの！お前だろうが！」

捨て台詞のように俺に指差して叫ぶ野上。

野上から手を繋ぎたいと言われたも同然、そして俺の余裕のなさの恥じらいもあり顔が軽く熱い。
え、それってやっぱりあの時も嫌じゃなかったってことで。俺の自意識過剰ではなく。

野上のことを意識しすぎてるのか、幸せ有頂天なのかわからないが島に戻ってからの俺は様子がおかしい。前なら勝手に手繋いでたし誘ってたし誘うまでもなく連れ出していた。

やっぱりほら、お付き合いする人って大事にしたいじゃん。
いや好きな子も大事にしてたけど、こう未来を一歩一歩大事にしたいじゃない。

……そう、嫌われたくないとか、変なことしちゃダメという無意識の制御がある。
大切にしすぎるのもよくないのはわかってる、でも初めての経験だし。

俺は片想いのほうが向いてるのかも、幸せすぎると俺はダメになるらしい。

『野上が好きすぎておかしくなってるんだ』
「…ったく、お前が何考えてるかやっぱりわからない」
『わからないほうが楽しいでしょう』