【メンズ校】Amour à l’infini ③【男主】 (ページ49)

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「俺、酷いことしてた」
「誰に？」
「友達に、自分のエゴ、押し付けてた」

よくわからない、と鷹野の顔に貼り付いてる。

エリカの話はしたけど、宣杜の話はしていない。
その理由は俺にもわからない。

「鷹野はさ、好きだった人に似た人が現れたらどうする？見た目じゃなくて…性格？とか」
「最初はびっくりするだろうけど、結局は別人だし…一緒だとは思わないかな」
「だよね。普通は、そうだよね」

鷹野になくて、宣杜にあるもの。
……気付かない方が、よかったこともある。

「例えばだけど、好きな人が嫌がることをされてたらどうする？」
「好きな人の代わりに怒るかも」
「うん。それもそうだよね」

宣杜は、怒らなかった。
怒るかと思った、嫌われたと思ったのに。

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野上を怒らせて、みんなにも変なこと言って。
逃げるように外に出た。

俺があいつらに住む世界が違うと感じるのは仕方ないじゃないか。
俺はあいつらみたいに自由になれないし、自由になれるほど頭も良くない。

なんで絡んでたんだろう。なんで俺みたいな奴と、一緒に。

『牧主税』
「え、宣杜…？」
『この時間に外出か？点呼、忘れるなよ』
「ああ、うん」
『……向こうに、逢瀬相手がいたぞ』
「へ」
『人は誰しもこの島の外に出たいと願ってるわけではない』
「宣杜が、そうだったもんね…」
『ああ。だけどな、人ってのはどうとでもなる』
「…そうだね、宣杜にはもう、野上がいるもんね」
『……少し噛み合ってないが、まあいい。牧主税は自由になりたいか？』

質問の意図がわからなくて、下を向いた。

なりたくても、なれないし。
なったところでやることもない。

「宣杜は、怒ってないの」
『なんだそれ』

無意識に質問を答えではなく、質問を質問で返す行為をする。
答えることから逃げたみたいだけど、否定もできず。

それよりも気になったことがあって。
野上に酷いことを言ったのに、怒った素振りを一切しない宣杜が意外で。

それに対して宣杜は、驚きはしつつも咎めはしてこない。
顎に手を添えて、少し考えてああ、と発する。