【メンズ校】Amour à l’infini ③【男主】 (ページ3)

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点呼前は静かで良い。
無理言って朝方に運航交渉してくれた学校に一応感謝しなければ。

一週間ぶりに帰ってきた自室の扉を開け、

　

――閉めた。

　

『都合のいい夢…？』

反射的とはいえ大きな音を立てずに閉めた自分を褒める。

なんで俺の部屋で寝てんの？どういうこと？
俺の部屋もうなくなった？在籍してないことになってる？

島の外で鼻が曲がったのか視界に入れるまで気付かなかったのは悔しい。
逆を考えれば俺も野上離れをしかけていたと捉えられる。俺ポジティブ。

しかし部屋に入らないと浴室に手ぶらで行くことになる。ダメだろ。
数分考えた結果、大人しく部屋に入ることにする。

自室に入るまでにこんな決断迫られるなんて思いもしなかった。

『失礼しまーす…』

断りも、忍び足も使う必要なんてないのに。
何回見ても俺のベッドを占領してるのは野上だ。どうしてそこにいる。

いつもより強く野上の匂いがしてクラクラする。
1週間いないだけでこの部屋は他者の匂いで充満してしまうらしい。

『野上、風邪引いたの？』

額に冷却シートがあるのに気付いて、つい近付いてしまう。

野上も人の子なんだと実感する。
馬鹿は風邪引かないっていうから、よかったね。

お風呂上がりに髪の毛ちゃんと乾かさなかったのかな、野上ったら自己管理能力衰えたんじゃないの。

これは人命救助だと頭に叩き込んで野上の顔に触れる。
たしかに熱い、下がってきたほうだといいけど。

野上の肌が少し荒れてる、そんなに辛い熱だったのかな。
こんなときにそばにいてあげられたらよかったけど、もう俺にその刺客ないし。

…自分で捨てたんだけど。

　
冷静を装っているがかなりドキドキしている。
考えてみてほしい、好きな子…なんなら告白逃げした相手が自分の部屋で寝てる状況を。

今すぐ頭を打ちつけたい。全部都合のいい夢だと今は思い込むしかない。

「え」
『あ』

パチリと目が合った時には遅かった。
離れようとしたら腕を掴まれ、思いのほか強い力にびっくりした。