第50話、的なやつ ページ3
貴方side
桃「ねーAちゃん、今暇ー？」
貴「え、まあ暇っちゃ暇かな・・・？」
桃「じゃあさぁ、佐久間さんのお話、聞いてくれる？」
なんだかいつもより真剣な顔をしているように見える佐久間くん。どうしたのかな・・・なんかあったかな？
2人っきりがいいって言うから近くの公園に行った。今、私の真正面に佐久間くんが立っている。
貴「それで、話って・・・？」
桃「・・・あのね！！」
俯いた佐久間くんが、意を決したように顔を上げる。
桃「俺、本気でAちゃんのことが好きなんだ！もっともっとAちゃんに近づきたい、そばにいたい！」
桃「Aちゃん、俺じゃ・・・だめかな？」
その苦しそうな表情が、佐久間くんが本気であることを語っていた。
桃「ごめんね。Aちゃんがふっかのこと好きなのはわかってるけど、言わないと気が済まなくてさ・・・」
貴「ううん、ちゃんと言ってくれてありがとう」
気持ちを伝えられない苦しさは、私にだって理解できるから。
・・・佐久間くんが彼氏だったら、きっと毎日楽しいかも知れない。明るくていつも笑顔で、誰かのために本気になれる優しい人。バーサーカーだけど、私の言うことはちゃんと聞いてくれるし。
でも、
貴「ごめん、佐久間くん。私、佐久間くんとは付き合えない。」
桃「・・・うん。知ってるよ。」
切なそうな佐久間くんをみてると胸が痛むけれど、中途半端にするのが1番良くないから。
私は深澤のことが好きで、きっと深澤以外じゃダメで。だから、佐久間くんとは付き合えない。
桃「ありがとねAちゃん、はっきり言ってくれて！諦めつけやすいわ！」
桃「でもさ、まだもうしばらくは、Aちゃんのこと好きでいていい？」
私が頷くと、佐久間くんはふんわりと微笑んだ。
事務所に戻ると、深澤がソワソワと部屋の中をうろついていた。
紫「あっAちゃん！！どこ行ってたの？？」
私を見つけるや否や、飛びついてきて質問責めが始まった。
貴「えっ、と・・・」
告白された、なんて素直に言うわけには・・・
桃「俺、Aちゃんに告白したんだよねぇー」
貴「え、」
紫「はっ？！どういうこと！？ねえ、もちろん断ったよねAちゃん！？」
いや言っちゃうのかよ
声のボリュームが二段階ぐらい上がった深澤に詰め寄られるわ、佐久間くんはニヤニヤしてるわ・・・なんなんだこれ！！
次回、「宣戦布告」。かませ犬にしてごめんね佐久間くん・・・
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作者名：うさのすけ | 作成日時：2021年11月30日 5時
