圧倒的 ページ14
＊(no side)
誰が言い出したか…、
綾小路Aは、その戦闘スタイルと腕に入っているタトゥーにかけて【胡蝶】と呼ばれている。
素早い動きでひらひらと身を翻し、敵陣を無傷で躱していく儚い外見の美青年。
相手に一発入れたかと思えば、反撃をもらわないうちに距離を取る反射神経。
しかし一発入れられた相手の方はほとんどが一発KO。
その様が「蝶に蜜を吸い尽くされて萎れた花」に喩えられ、彼を更に【蝶】のイメージへと近付けた。
中国の御噺にこんなものがある。
【胡蝶の夢】。
蝶になって楽しく飛び回る夢を見ていた人が目を覚ました時、自分が実は蝶なのか、蝶である自分が人間として目覚める夢を見ているのか…。
疑う状態になった、というものだ。
夢と現実の区別がつかない状態や、人生が儚いことの喩えとしても用いられる。
綾小路の容姿の儚さや、非現実的な喧嘩の強さから見ても、まさに彼にぴったりな呼ばれ方である。
…と同時に。
この噺の内容を知った彼の周囲の人物達は、「いつか本当に蝶のようにひらひらと、消えて居なくなってしまう」様を想像してしまい、あまりいい気持ちにはなれなかったそうだ。
＊
最後の一人を上段回し蹴りで沈め、密かに溜息を吐く。
こういった場面に出会すのは不良として珍しい事ではないが、この人数相手に一人でやるのは久しぶりだったので少々疲れた。
…偶には体動かさないと駄目だな。と思いつつ 先程放り投げた上着を探していると、目当ての物が差し出された。
『お、ありがと千冬〜』
千「いえ！ アヤノくんこそ、俺の代わりにありがとうございます！！」
礼儀正しく腰を曲げて頭を下げる千冬の髪をわしゃわしゃと撫でてやる。
『俺がお前に傷付けられて勝手にキレただけだから気にすんなよ？
むしろ横盗りしてごめんなぁ(笑)』
千「っ、(その言い方だと…俺がアヤノくんの"所有物"みたい───って、他のヤツに言われたらぜってぇぶん殴ってんのに！！)」
肩を掴んで頭を上げさせ、血の滲む口元を親指でそっと撫でる。
痛かったのか 小さく肩を揺らして顔を顰めた千冬に、こちらまで眉を寄せてしまう。
今治療出来る道具持ってねぇしな…、仕方ないか。
千「───え。アヤノく、」
ペロッ
千「……！？！？！？」
『…ん。消毒な』
千冬の口元の傷を軽く舐めて、乾いて張り付いた血を拭った。
＊
※衛生的に真似しないでね
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月18日 22時) (
レス) @page50 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
くろーーーー。 - (*´д`*)ﾊｧﾊｧ好きすぎる･･･！！！これからの物語めっちゃ期待してます！！！！！ (2021年11月30日 21時) (レス) @page4 id: 306f53c7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2021年11月30日 15時
