（千冬side） ページ11
＊
場地さんが補習の間にいつものコンビニに来ていた。
ビニール袋片手に外に出ると、正面から『ちーふーゆー』と声を掛けられる。
聞き覚えのある声に顔を上げると、アヤノくんが片手をヒラッと振りながらこちらに歩いて来ていた。
偶然会えた事に嬉しくなってアヤノくんに駆け寄ると、少し乱暴な手つきで頭を撫でられる。
口では嫌がるけど、内心は嬉しくて堪らない。
だって俺は───、
そこまで考えたところで頭から耳に移動していたアヤノくんの手に気付き、擽ったさにピクリと肩を揺らしてしまう。
『…これ、着けてくれたんだ』
千「…っス。アヤノくんがくれたモンですから」
なんとかそれだけを返し、アヤノくんから目を逸らす。
変に思われなかっただろうか？
女々しくはなかっただろうか？
本人に聞かなければ分からないその問いの答えは、小さく微笑む口元を見れば聞かずとも分かる気がした。
『…ねぇ千冬。ピアスをプレゼントされる意味って、知ってる？』
千「意味…っスか？」
『そ』
プレゼントに意味なんてあるのか…、なんて思いつつ割と真面目に考える。
でもアヤノくんは待ってくれる気がなかったみたいで。
ピアスが着いている辺りを触れるか触れないか微妙なラインでなぞると、俺と視線をかち合わせて答えを言ってしまった。
『意味はね、
────"どこにいて何をしていても自分の存在を感じてほしい"』
千「！？」
ぶわわっと顔が急激に熱くなっていくのが分かる。
何か言わなければ、と口を開こうとするも無意味だった。
…だって、何を言えばいいんだ？
『…あっははは！！
千冬その反応さいっこーう(笑)』
結構本気で悩んでいたのに、聞こえてきたのはアヤノくんの笑い声。
揶揄われたのだ、と気付いて更に顔が火照る。
千「〜〜〜揶揄ったんスかアヤノくん！？」
『ごめんって』と言いながらも肩を震わせているアヤノくん。
でも ふっ と目が伏せられた瞬間、
『───そういう事にしといて、』
と小声で言ったのが聞こえて。
急いで視線を合わせようとするも『ちょっと待ってて！』といつもの顔で微笑んでコンビニの中に入っていってしまった。
…アヤノくんの、ああいうところが嫌いだ。
誤魔化されると気になって、彼の事しか考えられなくなるから。
それを分かっているのに彼を目で追う事をやめられない女々しい自分はもっと嫌いだ。
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月18日 22時) (
レス) @page50 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
くろーーーー。 - (*´д`*)ﾊｧﾊｧ好きすぎる･･･！！！これからの物語めっちゃ期待してます！！！！！ (2021年11月30日 21時) (レス) @page4 id: 306f53c7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2021年11月30日 15時
