第36話「忠告の意味」 ページ38
差し出された写真には黒髪に黒の外套をまとった細身の男だった。
写真だけでも、蓮華には彼が危険な人物だと予想出来た。
「この人は___?」
「マフィアだよ」
太宰が蓮華の背後からにゅっと出て来る。
「港を縄張りにする兇悪なポートマフィアの狗だ。名は芥川」
芥川、か。
元の世界ではとても有名な文豪の名前だ。
それにポートマフィア。
あの帽子の彼の忠告もその名があった。
「マフィア自体が黒社会の暗部のさらに陰のような危険な連中だが、その男は探偵社でも手に負えん」
「………もしや、彼も異能力を?」
「え!?」
「そうだ。然も殺戮に特化した頗る残忍な能力で軍警でも手に負えん」
矢張りそうか。此処まで来ると予想がつく。
どうやら帽子の青年の忠告は正しかったようだ。
「俺でも、奴と戦うのは御免だ」
国木田の様子から察するに相当やばい人物なのだろう。
周りが緊張感に包まれる中、蓮華はただ一人口角を上げていた。
『そんな男の血なら,さぞかし美味しいんやろうな』
その様子を背後の青年に見られているとも知らずに。
***
「アハハ、それは脅されましたねェ」
「笑い事じゃないですよう」
依頼人を先頭に張り込み場所に向かう中、敦は隣で溜息を吐いていた。
「兇悪なマフィアとか直ぐに死ぬぞとか………
途んでもない処に入っちゃった」
「でも真面な衣食住を提供して下さっただけでもありがたいと思いますよ」
「そうだけど…」
「まァまァ、ボクでも続けられてる位だから大丈夫ですッて」
「でも谷崎さんも『能力者』なのでしょう?
どんな力なんです?」
「あんまり期待しないで下さいよ。戦闘向きじゃないンですから」
彼の異能か。
おそらく史実の作品名だろうが流石にどれかまでは特定出来ない。
「兄様の能力素敵ですよ。ナオミあれ大好き」
「止めなッてナオミ……こんな処で」
「敦見たあかん」
「ちょッ、街中で目塞がないで危ないよ!」
場所関係なくイチャつき始めたので、敦の目は再び塞がれた。
視界を奪われ慌てる敦を余所に、蓮華は一人眉を顰めた。
『彼の依頼人、絶対何か隠してる』
先刻まで気付かなかったが、彼女からは“普通の人なら持たないような物”の匂いがしていた。
『何でこの人……“銃”の匂いすんの…?』
いずれにせよ、この依頼人に何か裏があるのは明白だった。
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星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!気に入って貰えて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年7月31日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
赤砂晋助(プロフ) - この話好きやけんこれからも頑張ってください! (2019年7月22日 9時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 三輪さん» 実はそうなんです!バリバリの関西弁ではないのですが、気に入って貰えて何よりです!これからもよろしくお願いします! (2019年6月24日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
三輪 - 吸血鬼ネタ最高です……!蓮華ちゃんが可愛い。。それとつかぬ事をお伺いしますが、作者さまは関西圏出身なのですか?方言が刺さります! (2019年6月24日 15時) (レス) id: e6d66e6ea7 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!!私も吸血鬼ネタが大好きで作りました!これからもよろしくお願いします! (2019年6月2日 23時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2019年6月2日 17時