第20話「少女は死を拒んだ」 ページ22
「確保っ!」
見事な蹴りに周りは唖然としていたが、すぐに壁に激突した爆弾魔を国木田が取り押さえる。
「……凄いね。見事だったよ、何か武道をやっていたのかい?」
「いえ、特には。昔から体力はあったので窓から飛び降りたり、チンピラをボコってたら自然に身につきました」
「何してるの‥」
赤い髪を手で払いながら蓮華は云う。
子供の頃から動くのは好きだった。
しかし吸血鬼になってからは身体能力が飛躍的に向上したので,余計に運動神経が良くなった。
「まぁ何はともあれ、一件落ちゃ…」
「ぶッ!!」ピッ
突然背後から敦の声と何かの電子音が聞こえた。
振り返ってみると何故か彼は転んでいて、その手の下には……
「あ」
「「あ」」
「え」
爆弾のスイッチがあった。
その瞬間背筋が凍りついたのは云うまでもない。
「あああああああ!?」
酷い事にタイマーは5から動き始める。
「爆弾!爆弾!あと5秒!?」
残念な事に自分には爆弾解除の知識はない。
だがこのままでは多くの人が犠牲になってしまう。
「………え?」
唐突に信じられない光景が目に飛び込んで来た。
背後で敦が爆弾に覆い被さっていたのだ。
彼もおそらく無意識だったのだろう。
タイマーは既に2秒をきっていた。
「………何やってんの阿保!!」
このままでは彼が死んでしまう。
そう思った蓮華は直ぐに敦を爆弾から引き剥がそうとしたが、まるでくっ付いたように彼は退こうとしない。
『嫌や嫌や!!彼だけを犠牲にするなんて!』
だが自分に出来たのはただ彼の身体を抱き締め、覆い被さる事だけだった。
「莫迦!」
大宰の叫ぶ声がする。
残り1秒になった。
それでも敦を引き剥がそうとしていたが、タイマーを見た瞬間心の中に自己嫌悪が押し寄せて来た。
『私は、結局誰も救えないんか』
今まで周りに害しか与えられない自分が誰かを救って死ねたなら本望だ。
だがこんなのは嫌だ。
誰も救えないまま死にたくはない。
『ごめんなさい』
そしてタイマーはゼロになった。
***
遅くなりましたが500hitいきました!
ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
テスト前なので更新が遅れます。ご了承ください。
そして大宰さん、誕生日おめでとうございます!!
☆星木雪野☆
133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!気に入って貰えて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年7月31日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
赤砂晋助(プロフ) - この話好きやけんこれからも頑張ってください! (2019年7月22日 9時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 三輪さん» 実はそうなんです!バリバリの関西弁ではないのですが、気に入って貰えて何よりです!これからもよろしくお願いします! (2019年6月24日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
三輪 - 吸血鬼ネタ最高です……!蓮華ちゃんが可愛い。。それとつかぬ事をお伺いしますが、作者さまは関西圏出身なのですか?方言が刺さります! (2019年6月24日 15時) (レス) id: e6d66e6ea7 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!!私も吸血鬼ネタが大好きで作りました!これからもよろしくお願いします! (2019年6月2日 23時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2019年6月2日 17時