No.40 ページ40
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ガコッ。
再び、メインストリートから外れた場所で、異音が聞こえてきた。
｢･･････さっきから何なんだ？｣
現役にしては若いヒーローに、興味津々の様子で話しかけてくるご婦人やご老人に挨拶をしたり返事をしたりしながら、上鳴は目を細めた。眉を顰めてしまっては、地元の市民に不安を与えてしまう。
普段からたくさんの人間と交流があるからこそ、上鳴は人一倍表情や声色には気を使っていた。
テンライにはパトロールを頼まれていたが、明らかに日常音ではないそれを放っておいていいものだろうか。
上鳴は少しの間思考に耽ったが、やはり気になるものは気になる。
｢チャージズマ、頑張ってねえ｣
｢ありがとうおばあちゃん！｣
にこやかに応援してくれたおばあちゃんに笑いかけ、上鳴は表通りから外れ、異音の聞こえてきた場所を探す事にした。
ガコッ。
今度はより大きな音が聞こえてきた。
現場が近い。
ふと、テンライの言っていたヒーロー殺しの信奉者が頭に過った。
タカ。ヴィランにしては、可愛い名前。そのくせ五人ものヒーローを死に追いやった、連続殺人犯。
｢何事もないといいんだけど｣
爆豪や緑谷達とは違って、自分にヴィラン一人をどうこうできるだなんて思わない。皆のために、自分の命を惜しまず事件の現場にひた走る緑谷達と違って、自分にはそんな度胸はない。
それでも、表通りで｢頑張ってねえ｣と声をかけてくれたおばあちゃんみたいに、応援してくれる人達を裏切る真似だけはしたくない。
不規則に、しかし断続的に聞こえてくる音を頼りに、ゴミの放置が目立ってきた裏路地に入った。ますます大きくなる音。汚いビルとビルの壁の間。狭い道。そのどれもが上鳴に不穏を伝えてくる。
浅くなる呼吸をどうにか整えて、三方に分かれている路地のひとつに辿り着いた。音の発生源は、右の方だ。
上鳴は、グッと唇を引き結ぶ。
路地の一つを曲がった。
ぴちゃりと、足元で音がした。
｢は？｣
上鳴が踏んだのは、真っ赤な液体だった。
じわりじわりと上鳴の靴元に広がっていく、それ。
ゆっくりとその元を視線で追うと、何か大きなものが倒れている。
そのコスチュームは、昨日から上鳴を雇ってくれているヒーロー事務所のサイドキックのもの。
路地に倒れ伏すテンライの側に立つ男が、上鳴の姿を見とめてニィッと口角を上げた。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
