No.27 ページ27
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逃げ切った、訳ではない。
Aは本日何度目か分からなくなった舌打ちをした。
敵検挙率不動のエース、ヴィランからすればオールマイトよりも恐ろしい男、エンデヴァーから間一髪で逃れられたのはいいが、Aが空に飛び上がったのを待ち構えていたかのように、もう一人のヒーローが層雲を突き抜けて追いかけてきたのだ。
その毒毒しいほどに真っ赤な翼は、嫌という程見覚えがある。
｢よりにもよってホークスか･･････｣
個性｢
発動時に自身の体が恒星と同じ性質を持つ個性。人体を生成するあらゆる細胞・物質が熱エネルギーを発し、回りの水素やヘリウムガスを吸収して発火する。また、自らが発するガスの流れである恒星風を操れる。
Aが空を飛べるのも、水素爆発を繰り返す事で巻き起こる爆風を利用しているからだ。
この発現したのは、Aが四歳の頃。
父親は、個性届の提出は勿論、四歳児健診の個性診断にすら行かせなかった。
ホークスは速い。とにかく速い。
水素爆発を持続的に起こして飛ぶAと元より有翼個性持ちのホークスとでは、Aの方が圧倒的に分が悪い。
突発的な加速力ではAの方が上だが、長距離を速く飛び続ける事において、ホークスに勝る者はいないだろう。
現に、Aとホークスの距離は徐々に縮まってきている。
｢ああもう、義爛にどう謝ればいいんだろ｣
びゅうびゅうと氷柱の様に突き刺す風に顔を顰めながら後ろに着いてくる赤い翼のヒーローを睨み付けた。高度4500m。この風の中、フードなど意味を成さない。顔までは見られていなくとも、この目立つ白銀の髪はバッチリ見られているだろう。
最悪だ。
Aは縮まる距離をそのままに、体が発している熱を一ヶ所に集中させ始めた。磁波の狂ったその一点に、熱量を注ぐ。
ホークスとに距離がどんどん近づいていく。
50、40、30、20、
────10。
今だ。
｢『フレア』｣
凄まじい熱風が、周囲の雲を一瞬で霧散させた。
太陽面爆発とも言われるその爆発は、手加減しているとはいえ、恐ろしい殺傷能力を有していた。
きっとホークスなら大丈夫だろう。あの剛翼なら、墜落する事はあるまい。これでも幾分か羽が残る様に、調整はした。
ホークスの赤が、眼下に見えた。
美しい剛翼が黒く焦げるかもしれない所が、少しだけ憂鬱だった。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
