No.23 ページ23
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『対象、500m先に確認。藍瀬を目視できる距離で待機している様子』
了解、という声は心の中にとどめた。
とうとう、“死神”の捕縛作戦が始まった。
木椰区のショッピングモールの一件から僅か二週間。公安特捜班の甚大かつ大変涙ぐましい努力が実を結び、どうにかこうにかヴィラン社会の大物ブローカー・義爛に依頼をこじつける事ができた。
藍瀬益治を殺して欲しい、と簡潔な依頼。
しかし、これには大きな意図があった。
藍瀬益治は、半年前程にその腕を買われ、ヒーロー公安委員会の工作員になった。勿論、元々は一介の暗殺者。普通に逮捕、起訴されてしまえば死刑は免れない男だ。しかし、一生を公安に尽くし、社会貢献に尽力する事を条件に、超法規的措置が取られ、目出度く公務員というものになったのである。
今回の作戦で最も重要なのが、“死神”とヒーロー側の接点となる｢依頼｣だ。
ダミーの依頼にしても、この界隈に長らく身を置く義爛の目をすり抜けるような巧妙かつリアリティのあるものでなければならない。
そこで真っ先に名が上がったのが藍瀬だった。
トップヒーロー級、果てはエンデヴァーかオールマイトかといった“死神”の強さに対抗しうる戦力であり、公安に忠実でいざという時は捨てられる駒。
そういった点で、藍瀬はこの上なく今回の作戦に適していた。
“死神”、ねえ。藍瀬はコツコツと革靴を鳴らして灰色のコンクリートを歩み続ける。
聞けば、まだ十五の子供だそうだ。この世界じゃ、十五にもなれば立派な大人だが、それでも金や食い物欲しさにくすねたり、組の使いっ走りをしてる奴らが殆どだ。
決して清い人生を送って来たとは言えない藍瀬だが、それでも十五の頃までは貧しいながらも優しい祖母と母に慈しまれていた。ある日突然全てを奪われて、転がり落ちる様にこの世界にやって来た。
“死神”の殺し方は静かだ。
己の残虐性を示すわけでもなく、淡々と、自然が時には命を奪うように、殺す。
殺したくて殺してるやつも少ない中、
早くお目にかかってみたいものだ。死神さんよぉ。
午後二時五十九分。
作戦開始。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
