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第十六話 ページ16

わ、えっと、あ、
何号室だっけ、あっと、あ、そうだ十二号室だ。



ふるふると生まれたての小鹿のように
足が震えている。

よく料理がこぼれないものだ。



ゆっくりと歩いてやっと障子風の扉の前に着く。
まるっきり障子なんだけど、防音だとか
ハイテクなのに改めて驚く。



ノックはできないので設置されている
ベルを押す。


心臓がバクバクいってる。 つらい。




相手から開けられるのを待つのが二階のルール。
改築してこうやってルールも変わった。

プライバシーがなんとか、らしいです。




スーっと、障子が開く。




中から出てきたのは、
黒い髪で、切れ長の目が特徴的な男の人。




「あっ」


「?」



思わず、声を上げてしまった。



「...なんでもこざいません。 すみません」


「そうですか。」



だってこの人は、


赤葦京冶。



お得意さんだというあの写真の人。




今日はなんでこんなに出会うんだろうなーなんて
考えながら、「中へお運びしましょうか」と尋ねる。




「あ、いえ、此処で大丈夫です。」


ひょいっと私からお膳を取って、
乗っている菜の花からし和えを確認すると
無表情ながらも何処か雰囲気が嬉しそう。



「あっ、はい。」



菜の花からし和えは、毎年春限定の季節メニューで、
今年は最近始まったばかり。

足が早い食材なので、
一日にそんなに数は作れないが鮮度は抜群だ。



写真では表向き優しく笑っていて、
何処か悲しそうだったけどどんな人なんだろうか。



じっと赤葦さんを見つめると、
不思議そうに見つめ返された。




「...どうかしましたか?」


突然発された言葉に戸惑いながらも応える。



「え、あっ、菜の花のからし和え、お好きなのかな、と...」



って私、何言ってんだあああ!!
しかも注文してるんだから好きなんでしょ!!そらさ!!
考えれば分かるだろこのやろおおお!!



必死に表情に出さないように葛藤していると、
赤葦さんは目を丸くした。




「どうして分かったんですか...」


「へっ?」


自分から間抜けな声が出たのは置いといて。

どうして、ってな...んーー、
だって嬉しそうだったし。



ちら、と赤葦さんを見ると、
何故か口元を緩めまいと葛藤している様子。



その様子が男性にしてはあまりに可愛らしくて、
私は声も出さずにそれを見つめていた。

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作品ジャンル:アニメ
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- 黒尾鉄朗がっごいいいいい (2015年3月21日 9時) (レス) id: 6d17eb9fea (このIDを非表示/違反報告)
りっさん - 夜久さん素晴らしいです。グッジョブです!! (2015年3月18日 22時) (レス) id: 9319e60931 (このIDを非表示/違反報告)
- 第29話の三行目の黒尾様が__ってところ黒男様になっています!あ、これわざとでしたか??でも気になったので指摘してしまいました;;; (2015年3月15日 16時) (レス) id: 0fb612002d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - かよさん» 本当ですか!!?もうその一言だけで今胸がいっぱいになりました。ありがとうございます...! (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - 7時さん» 嬉しいです...!ありがとうございます!!赤葦さんかっこいいですよね(笑) な、殴られました!?さらっと言ってますが大丈夫ですか!?(笑) 更新頑張ります!! (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星月夜 | 作成日時:2015年2月26日 12時

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