あの人の妹はFightingGirl! samurai (ページ36)

今日:48 hit、昨日:2 hit、合計:59,146 hit

キセキページ36

"引退試合"というものは普通30代中頃～後半に行われる。

故に全盛期の能力は失われていることが多く、最後の舞台で本塁打などの活躍をする選手はごく少数、サイクルヒットともなれば何万分の一の奇跡となる。

それはちゃんとわかってるよ。

何万分の一の奇跡なんて自分には起きないって普通は思うんでしょう？

じゃあ、私がここにいるのはどれだけの幸運？

プロスポーツ界で男に混じってプレーしてるのは私一人。

世界でも他に類を見ない奇跡、72億分の一人。

そんな私には、何万分の一なんて奇跡じゃないよ。

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第二打席、ワンアウト二塁。今度はストレートを弾き返し、右中間を突き破る。

ライトの守備の乱れの間に私は三塁へ。タイムリースリーベース。

これだけじゃ終わらないよ？

第三打席はセンターの頭上を越えるツーベース、一塁走者の泰士さんはホームに突っ込みヘッドスライディング。と同時に白球は梅ちゃんの手の中に。

ビデオ判定にまでもつれこみ、結果はセーフ。

その大きなガッツポーズがしっかりと見えた。

その後、大将の内野ゴロの間に颯爽とホームへ帰還。皆とハイタッチをし、ベンチに戻る。

次がラストチャンスかな。監督の考えることなんて見え透いてるし。

皆も触れないようにしているだけでしょ？

不思議。なんでこんなにもホームランに執着するんだろ。

私はそんなにパワーヒッターじゃない。

四十何本、五十本も打っててもやっぱり最大の武器は俊足、盗塁能力でしょ？

なのにホームランに執着するって馬鹿みたい。

落ち着きなよ。私らしく行くよ。

"泥臭く、がむしゃらに、強く"