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それを聞いた途端の彼女と言いましたら、目をきらりと輝かせ、にやにやと愉快げに笑みを浮かべながらふうん、とつぶやくものですから、私は言いようもない嫌な予感がいたしました。何をする気かと問いかけますと、彼女はそれはもう、この上なく穏やかににっこりと笑います。それからあの方を振り返って、二週間後の予定を訊ねました。二週間後の夜の予定です。その質問にあの方は、急な討伐依頼が入らない限りは問題ないと、不思議そうな顔をして答えます。それを聞いた親友は嬉しそうに頷いて、それなら私と二人で花火大会に来れるだろう。なんてことを言うのです。これには私が慌てふためきました。だって、花火大会。あの長野原花火大会です。祭りの会場になる甘金島が毎年人でたくさんで大盛況になる、稲妻随一の花火大会です。実を言いますと、私はその年まで一度も催事場に赴いたことがございませんでした。村に数少ない、年若い女子だったからなのでしょうか。幼い頃からずっと村の大人たちに危険だなんだと心配されたために、私が村の外、人の集まる場所に出向いたことは、片手で数えられるほどしかなかったのです。
いきなり何がどうしてそんなことを言い出すのかと親友のことを揺すりますと、私がずっと花火大会に行ってみたいとぼやいていたことを言われて、それから腕利きの若い男が一緒なら浮ついた男や危険な輩からも守ってもらえるだろうと付け足しました。茶目っ気たっぷりに、片目を瞑りながらです。彼女のそういうところがいけません。私は怒るに怒れず、あ、とかう、とか呻きながらあの方のことを窺い見ました。私の目線を受けたあの方は、そういうことならもちろん構わないと、むしろ役得だなどと言って彼女の言葉を了承します。私は眩暈がするような心地がいたしました。なにしろ、要はつまり逢引でございます。私はとんとん拍子にあの方と逢引をすることになったということなのです。
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作者名：鳴草 | 作成日時：2022年5月6日 1時
