二刀流は大型犬と大差ない

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「”おいA、何走ってんだよお前！てか何であの球受けといてそんな平気そうにしてられんだ！”」


「”どう考えても立ち上がれないだろ、あんな球受けたら……”」


「”とりあえずお前は診てもらってこい。立ってるのもおかしいぐらいなんだからな”」


「なんでそんな無茶するの、走ってる時だって庇ってたし。今すぐ診てもらって！」


『分かったって、落ち着けお前ら……』



鬼のように詰め寄る翔平、トラウト、サンドバルにスアレスなどなど。唾が飛ぶわ、こいつら。距離近すぎ。


結局緊急処置としてビニールに氷が詰められたやつを患部に当ててアイシングしながら、俺は渋々お説教を受けていた。



「”普通当たったら戻ってくるだろ、何普通みたいな顔して喋ってやがんだよ”」

「Aが離脱したらこいつら手がつけらんないよ、特に翔平。マジで頼むから自分の体優先してくれ。マジで。」

『一平さんまで……』



落ち着くまで散々な言われようだったが、試合は再開し攻守交替。

未だに雰囲気は回復せず、ピッチャーも異様な雰囲気で肩を回している。

自分で言うのもあれだけど、ホントこいつら過保護すぎる。親かよって。俺もう立派な成人男性なんだけど。



『”おいお前ら、まさかとは思うが報復死球なんて絶対にすんなよ。ここでそんなことして退場くらうくらいなら俺が投げた方がマシだから。頼むぞ”』

「”……おう、”」

「……」



なんか煮え切らない返事だな。てか翔平に至っては無視て。こちとら仮にも怪我人なんだが。



その後は殺気が凄いチームメイト達によってハラハラしながらも勝利を収めることが出来た。

これも俺があの時1点加点したからだな、と言ったら翔平にはたかれた。なんてことしてくれてんだ畜生。

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