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backepisode 2 ページ3

「失礼いたします」
「し、失礼します」

飄々とした態度で入っていく姉様の背後にくっついて、おずおずと首を巡らすわたし。
姉様は臆する事なく一人の男の人に声をかけ、茶封筒を渡した。
「これ、私の父様_____飯島行彦(ゆきひこ)に渡してください」
「あああ愛しき娘よ!書類を届けてくれたのかい⁉」

どこからか走ってきた父さんが、姉様に飛びかかるようにきて抱きつく。姉様は露骨に嫌そうな表情をし、人差し指を父さんに立てた。
「邪魔」
「うぐぅ」
父さんは変な呻き声をあげ、渋々と云った様子で姉様から離れる。ちょっと可哀想な気もしたけれど、わたしは見てしまった。
姉様が、ほんの少しだけ嬉しそうに微笑んだのを。

「行彦、さっさと仕事をせんか!会議はもうすぐだぞ!」
「国木田さん、もう少しだけ、天使を愛でていたいのですが」
父さんが泣きそうな表情で云うと、国木田さんと呼ばれた男の人が鬼の形相で駆けてきた。
「早くしろこの仕事放棄魔‼」
引きずられていった父さんに軽く手を振り、姉様の後を追って武装探偵社を出る。

扉を閉める直前。
わたしの視線は一人の男の人に釘付けになる。
砂色の外套に身を包んだ、腕に巻いた包帯が目立つ男の人。
彼の人______わたし、彼の人の事、知ってる気がする。

「太宰、治………兄さん」

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年7月13日 12時

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