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backepisode 1 ページ2

「行ってきます」

姉様と声を揃えて云い、わたしは家を出る。隣では、わたしと二つしか歳が違わないはずなのに、とても大人びている姉様がいた。
姉様の名前は蘭子(らんこ)。綺麗な名前に似合った容姿をしている。

「姉様、今日はどこに行くんですか?」
「父様の職場に行くのよ。父様ったら、大事な資料を忘れてしまったんですって」
姉様は困ったように眉尻を下げる。胸に大切そうに抱いている茶封筒を、わたしの目線に合わせて掲げて見せた。

わたしと違って、姉様は母さんや父さんの事を母様、父様って呼ぶ。そこでも年齢の差が見えているようで、ちょっと嫌だった。
「父様の職場は、小さな民間探偵社なんですって。駅で電車を乗り継いで行くから、結構時間はかかるわね」

再び胸に抱かれた茶封筒に、少しだけ視線を送る。機械で書かれたんだろう、堅苦しい文字でこう書かれていた。
『武装探偵社 重要資料』
まだ十にも満たないわたしには何て書いてあるのか判らなかったけれど、多分大事なものなんだろう、と云う事は判った。

駅で切符を買って、地下鉄に乗る。
何度か乗り継いで、やっと赤茶けたビルに着いた。
「ここね」
姉様が母さんから預かった地図と見比べて確認する。

昇降機で上階へと昇って、姉様は迷う事なくひとつの扉を開ける。
わたしも姉様を追って、中に入った。

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年7月13日 12時

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