episode 1 ページ2
当たり前に四季は過ぎ去って、私は16歳になった。
初めて見る都会の景色に、緊張が走る。
周りを見回すと、高いビルに溢れていた。
おしゃれな洋服を着て、何か美味しそうな飲み物を持った同い歳くらいの女の子達が、横を通り過ぎていく。
お義母さんから買ってもらった洋服の中でも、一番おしゃれな物を着てきたのだけれど、ちょっぴり場違いな気がするなぁ………。
そんな事を考えながら、私は目的地へと到着した。
チン、と軽やかな音がして、扉がゆっくりと開いた。
「おっと」
その声に顔を上げる。その瞬間、私の周りから音と空気が消えた。
「………見つけた」
呟きが漏れる。
鉢合わせした男の人の腕を摑んだ。
男の人は驚いたように私を見つめている。
その顔を見て、無性に腹が立った。
この人の記憶の中では、妹を攫った事は「長い人生の中のイベントの一つ」として処理されているんだ。
悪人が善人になれるなんて巫山戯るな。
根は変わらないくせに。
私の事を覚えていないのか、その証拠じゃないのか。
「ねえ、太宰治さん。私の事、覚えてないでしょう?」
判っていても、尋ねずにはいられなかった。
皮肉たっぷりの笑顔で、太宰治を見た。
「最低。妹を攫った、誘拐犯のくせに」
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年7月7日 13時