近くて遠いキミ【佐野万次郎】

19⌇文化祭の約束 ページ21

『ひゃ〜！おいしい〜！！』

「くーっ！頭痛え！！」

「クッソ髪の毛邪魔だ」

『あ！圭ちゃんこれプレゼント』

「ん？なんだ？」

『ゴム！ちゃんとしたアクセサリー屋さんで買ったから簡単には切れないと思うよ！』と、オレには似つかわしい、かわいらしい袋を渡される

「いいのか」

『うん！大事に使ってね！』

「…サンキューな」

『どういたしまして！』

「一気食いしてやんぞ、バカヤロウ！」もらったゴムで髪を括り、かき氷を頬張ると、『頭痛くなっちゃうよー』と笑うA

『そういえば、圭ちゃんたち文化祭いつ？』

「来週です」

『何するの？』

「知らね。関係ねーし」

『え、出ないの？』

「出ねぇよ。くだらねぇ」

『絶対楽しいのに』

「どうでもいーわ」

『私はねー、焼きそば屋さんやるから2人で食べに来て？』

「ペヤングでいい」

『ペヤングより絶対おいしいから！』

「え、オマエが作んの？」

『うん』

「作れんのかよ」

『作れるよ！焼くだけじゃん！』

「うわー…めっちゃくちゃ心配なんすけど…」

『千冬どういう意味』

「やっぱペヤングでいーわ」

『えー…2人に食べてもらおうと思って焼きそば屋さん提案したのに…』と、わかりやすくショボクレるA

「チッ、わぁったよ！行きゃあいんだろ！」

『ほんとに？頑張って作るね！私店番後半だから、午後きてね？あ、お昼は食べてきちゃだめだよ？』

「へいへい」

「で、いつなんスカ？」

『んーとね…10月31日！』

10月31日か…
悪いな、A。オマエとの約束、守れそうにねーわ。
でも約束破るのはきっとコレが最初で最後だ。許してくれよな。

『ハロウィンだから、コスプレするの』

「へぇー。Aさん何着るんすか」

『まだ決めてない。何がいいと思う？』

「んー…メイド服とか？」

『えー…他には？』

「…ナース、とか？」

『千冬…そういうのが好きなんだ…』

「そういう意味じゃないっスよ！Aさんが聞いてきたんじゃないっすか！」

『千冬変態〜！ねぇ聞いてる？圭ちゃん』

「あ、おう…千冬はナースが好きなんだな」

「場地さんまで…！！」

『楽しみだな〜！2人に来てもらうの！』

「他の人は誘ってないんすか？」

『うん。だって去年マイキーたち来たけど、文化祭どころじゃなくなっちゃったんだもん！』

楽しみだなぁ〜！と嬉しそうに笑うAを見て、込み上げてくる罪悪感を押し殺すように、残りのかき氷をかき込んだ

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