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昼休み、
俺とAは教室で一緒にご飯を食べていた。
ご飯を食べ終えて、
少し話をしていれば、
教室の外からAの名を呼ぶ声が聞こえた。
それに反応して俺もそちらを向けば、
ドアの所に立ちすくむ男子生徒。
その瞬間、
あぁ、またか、
そう思った。
Aが男子生徒に呼ばれれば、
それは95%告白だ。
それには、気づいていたけど、
俺が口を突っ込むことでもないから、
「ごめん、ちょっと行ってくるね、」
と言うAに、
笑顔で「いってらっしゃい」と返した。
それが、大きな間違いだった。
しばらくして、チャイムが鳴った。
俺は他の友達とお喋りしてて、
チャイムの音で席に着いた。
すぐに扉が開いて、入ってくる先生。
みんな、それに合わせてぞろぞろと席に着く。
みんな席に着いて、
さぁ授業が始まる、ってところ、
そこで俺はやっと気づいた。
あれ、A、まだ帰ってない?
後ろの方の俺の席、
教室全体がよく見えて、
いつも見えるAの席は、
不自然に空いていた。
それに気づいた瞬間、
すごく嫌な予感がした。
別に、授業に遅れること自体は不自然な訳じゃない。
他の人なら、よくある話なのかもしれない、
ただ、Aが授業に遅れることが
不自然なんだ。
母国語ではない授業、
人の2倍は集中して聞かないと、
ついていけないんだよね、
そう笑いながら言っていたAは、
これまで授業に遅れたことは、
たったの1度もなかった。
教台に立った先生も、
不自然に空いたその席に気づく。
「そこ、誰だー」
と聞けば、
教室のあちらこちらから、
「Aでーす」
と声が上がる。
そこで、やっぱり不自然に思うのは俺だけではないみたいで、
先生も、他の生徒も、
珍しいね、と少しざわついた。
「誰かなんか知らないかー?」
先生から声がかかる。
そこで俺はすっと手を挙げた。
「俺ちょっと見てきます」
その声に視線が集まる。
でもみんな俺がずっとAの傍にいたのを
知っているから、
不思議そうな顔はしない。
先生の「おー頼んだぞー」と言う声を受けて、
俺は急ぎ足で教室を出た。
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作者名:もなか | 作成日時:2022年10月4日 12時