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浴衣がはだけて露わになった不死川さんの胸に張り付く私のおでこ。そこからはドッドッドッという激しい心音が伝わって聴こえる。
「失恋とは限んねぇだろォが…」
「…………それこそ、意味分かって言ってますか?」
「んなもん分かってらァ」
「何なんですか……?本当…。そういう期待させるようなことを言って後から私を地獄に突き落とす魂胆ですか?」
ぺらぺらと、口から可愛げのない言葉が溢れてくる。
すると…黙れと言わんばかりに、後頭部に回された手と反対側の腕が背中にまわってきて、ギュッと締め上げるかの如く抱きしめられた。
「ぐちぐちうるせェ奴だな…」
「………っ」
「ンな魂胆ねぇわ」
「う…あの、苦しいです……不死川さん」
「我慢しろォ」
身体同士が隙間なくくっついていて、触れている部分が熱くて堪らない。どちらのものか分からない鼓動が一定のリズムを刻んで鳴り響いている。
「……帰るわ」
「え?」
突然身体が解放されたかと思うと、徐に立ち上がり、まだ乾いていない隊服と羽織を手に持つ不死川さん。
「玄関にある傘とこの浴衣、借りてく」
「はい。それは別にいいですけど、…」
「来週の金曜日も非番かァ?」
「はい、私だいたい金曜日が非番なので」
「じゃァまたいつもの時間にな」
「はい…」
まだ収まっていない激しい雨音の中、不死川さんは私の傘をさして帰っていった。
「………あのタイミングで、帰ります…?」
独りぼっちになって呟いた言葉は雨音に負けて消えた。
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もみじ(プロフ) - 覚悟を決めし者さん» 決めしちゃんありがとう!(;;)私はここではお話投稿しなくなるけど、相変わらず決めしちゃんのファンだし、これからも決めしちゃんのお話を読者として楽しみにしてるね^^才能に溢れた決めしちゃんが大好きでした!ビッグラヴ!!!! (2021年3月27日 19時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - 短い間だったけれど、仲良くしてくれてありがとう……!もみじちゃんと出会えてよかったです!!連投ごめん!!!!ビッグラヴ!!!!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - もみじちゃん……!!コメントが遅れて申し訳ない( ; ; )完結おめでとう!!!恋愛に鈍くて初心な不死川さんらしさが溢れた素敵な作品でした……!!もみじちゃんが占ツク卒業しちゃうの死ぬほど寂しいけど、ずっと応援してるからね!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 蓮さん» 蓮ちゃんありがとうっ!もう蓮ちゃんに言いたいのは……ただただ大好き!!!!それだけ!!!!これからは蓮ファンクラブ代表として読み手にまわるね^^本当にありがとな!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 古猫丸さん» わっ…まさか古猫丸様からコメントをいただけると思っておらず震えておりますっ。私には勿体ないお褒めのお言葉…本当に嬉しいです。ありがとうございます(;;)私、古猫丸様の書く煉獄さんがすっごく大好きなのでこれからも読みにいかせていただきますね^^ (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もみじ | 作成日時:2021年3月1日 19時