色恋に興味がない男の話【不死川実弥】

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彼女が甘味処に姿を見せなくなって3ヶ月が経った。

その身に何か起きたのか、命に関わることが起きたんじゃないか、なんて考えをいくら巡らせても答えは勿論出るわけもなく。

好きなはずの食いもんも、隣に彼女が居ないだけで味がしない。店の婆さんからも「あの子最近見かけないねぇ。喧嘩かい？」なんて言われる始末。



街を歩いている時も他の隊士たちと合同任務の時も、無意識に彼女の姿を探してしまっているし、勿論見つからなくて苛々が募るばかり。

現に今も、鬼を前に一瞬気を抜いたせいで、腕に怪我を負ってしまった。


「あーくそっ！」


アテもなく怒鳴ったところで出血は止まりやしない。早いところその鬼の首を斬り落とし、呼吸で止血をして、近くの藤の花の家紋の屋敷に向かった。




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屋敷の主人が呼んでくれた医者に傷口を数針縫ってもらった。今回の怪我は完全に自分の不注意からくるもので、雑魚鬼如きに怪我を負った自分への苛々は収まるどころかどんどん膨らんでいく。

外の空気を吸って気持ちを落ち着かせようと、屋敷の広い庭園に面した縁側に出ると、先客が一人居た。

ならば引き返そうとしたが、その背中には見覚えがあって。なんなら諸悪の根源とでも言えよう。縁側で呑気に湯呑みを啜っている姿を見て、強い憤りすら感じた。



後ろからその小さな肩を掴むと、驚いた表情でこちらを振り返る彼女。



「わっ………えっ、あ……こ、こんばんは」



分かりやすく目が泳いでいる。
久しぶりに見た顔。ずっと会いたかったはずなのに、生きていてくれてほっとするはずなのに、ふつふつと湧いてくる怒りの感情は収まることがなくて。


無言のまま、彼女の手首を引いて自室に向かった。

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