. ページ36
.
「 … 拓実。 」
「 4年後 、また同じ舞台に立って活躍したいとは思っとる。だから今まで以上にサッカーに向き合ってるつもりやけど 、ほんまにつもりやったらどうしようって考えてしまって怖い。 」
微かに震える拓実の指先。むやみに「大丈夫！拓実ならできるよ！」なんて言えなくて返答につまる。震えてる拓実の手に私の手を重ねて、目をじっと見つめる。「大丈夫、私は何があっても拓実のそばにいる」とわかって貰えるように。
「 … 拓実の本当のサポーターなら 、1番にPKを蹴る選択をした拓実を見れただけでも嬉しいはずだよ。拓実からしたらその慰めは余計惨めになるだけかもしれないけど 、拓実のことを心配して心から応援してくれる人はこの世にごまんといるから大丈夫。私もその1人だし 、これからも拓実の隣にていいのならずっといたい。 」
「 … あかん 、ほんまだめや。 」
大きい目から一筋の涙が流れる。その涙を私の指で拭ってやると、拓実の濡れた目が私を捕える。優しく微笑むと、勢いよく私を抱きしめた。
耳元からはふっ、うっ、という拓実が泣く声。この悔しさをバネにして昔以上に大きく飛んで欲しい。不安のない笑顔で彼がサッカーをプレイできるまで私はきちんと支える。
「 … 私ね 、サッカーしてる拓実好きだよ。だけどね、拓実がサッカーしてなかったとしても 、一般人だったとしても私は拓実のことを好きになったと思う。サッカー辛くなったら辞めればいい。でもまだサッカーしたいって顔してるし 、そうならばとことんやり尽くして欲しい。他人の心無い声に耳を傾けちゃだめ。私は応援してるから。 」
「 うん 、うん … ありがとう 、ありがとう。 」
拓実の広くなった背中に手を回す。モナコの練習はキツいと言っていたな、なんて頭の中でぼんやりと思い浮かべる。
「 … 大丈夫 、拓実は私の彼氏だから。 」
「 ふっ 、なんやそれ … 」
「 あ 、ようやく笑った。 」
「 うるさいねん 、今そんな雰囲気ちゃうやろ。 」
そう言って泣きながら笑う拓実がとても愛おしく感じた。
end
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆりこ(プロフ) - 続編是非是非お願いします🙇♀️💓 (2023年3月21日 0時) (
レス) @page49 id: 77cf571e3a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - こんばんは。続編、ぜひお願いします。面白いので。。 (2023年3月20日 20時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
ヒョナ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます📔♡ 続編希望です！！リクエストもまたさせていただきたいです☺︎ (2023年3月20日 19時) (レス) id: 915f0aebf7 (このIDを非表示/違反報告)
ミミミのミ(プロフ) - 続編希望です…❥🫣リクエストも思いついた時に送らせていただきたい所存です(p_x)❕ (2023年3月20日 19時) (レス) @page49 id: 2bc7b134a4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ミーこさん» わざわざお返事ありがとうございます。ミーこさんの文章は中毒性があり、続きを読みたくなります。本当にお金出して依頼したいくらいお気に入りです。これからも手が空いた時で良いのでよろしくお願いします。 (2023年3月15日 21時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミーこ | 作成日時：2023年1月15日 13時
