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其ノ弐拾漆 ページ28

不死川ver.


次の日の朝、酒を片手に宇髄の家へと向かった。
結局昨日思わぬ邪魔が入って気持ちを伝えられなかった。


「……チッ」


不本意だが前々から決めてた事、宇髄に聞くしかねぇと思い嫌々向かう。

軽く戸を叩くと宇髄が直々に玄関から顔を出して迎えてくれる。


「よぉ、お前が訪ねてくるなんて珍しいこともあるもんだ」

「まァな」


そう返事をして片手で持ってる酒を上へと軽くあげると、目を開かせて「まぁ入れ」と言われ軽くお辞儀をして中へと入った。

居間に着くとドカリと座り、胡座をかいてを盃差し出す宇髄。そして酒を酌み交わしながら話を始める。これはいつもの事だった。


「で、どうだったAは」


様子を伺いながら尋ねてくる宇髄から目を逸らし答える。


「どうだったってなんだ」

「まぁ、そうだなぁ……下弦の陸を倒した時の事とお前らの色恋の行方、Aの記憶の様子って所か」


暫くの沈黙が流れる。
重い口を無理やり開かせるように答えた。


「下弦と闘った時は正直驚いたなァ……ほぼ首が切れてたが完全に切れてなかった。アイツの力不足と言うよりなにかの気持ちが邪魔してたんだろォ」

「……鬼に情でも湧いたか」

「まぁ、心優しいアイツならありえる話だァ」

「なるほどな」


で?と続ける宇髄は俺への視線を向けたまま逸らさない。


「記憶については……分からねぇな」

「……そうか」

「時透に姉さんと呼ばれた時もなんの反応もなかった。記憶を忘れていると言うより、元から無かったかのようだァ」

「……あいつのことを覚えてるのは俺らだけか」

「そういうことだァ……」


そしてお互い静かに酒を口へと運ぶ。


「……なんなんだろうなァ……」

「まぁ、でもお前らを見てると結ばれてんだなと思うぜ」

「向こうに記憶がなくても、完全にお前に惹かれてる姿を見て、こういうのってあるんだなと思ったな」


こう言う宇髄に対して、「……そうかァ」のひとつ返事しかできなかった。


「それで、いつ言うんだよ」

「……決めてねぇ。ただ早いうちに言おうと思ってる」

「そうかい……」


気づいたら酒瓶一本空けていて、ちょうどいいタイミングだと思い帰ることにした。


「じゃ、また来いよ」

「あァ、ありがとな」


黙って手を振る宇髄に背を向け軽く手を上げ歩いた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時

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