其ノ弐拾肆 ページ25
「……心の……呼吸……」
「……!?」
「……陸ノ型……星雲終月」
そうして鬼の首を斬った。
ふわりふわりと心地が良くて、自分の体を自分で動かしているように感じられなかった。
その次の瞬間トドメを刺すように不死川が完全に鬼の首を切った。
この後のことはほとんど覚えていないけれど、苦しくて、肺に血が入って喉がゴロゴロ言っていたことぐらいだろうか。
あとは、心配そうに自分を抱き抱える実弥さんの、顔。
「……お前、呼吸を……」
「……できるなんて思ってなかったです……」
そんな会話をして自分は気を失ったらしい。
丸3日間も起きなかったんだとか。
気がついたら蝶屋敷の病人のベッドに寝ていて、隣には実弥さんが足元で倒れかかるように寝ていた。
「……おはようございます」
しのぶさんが、ちょうど様子を見に来てくれたらしく体を起こして事情を聞いたのだった。
「不死川さん、見ての通りここから離れようとしなかったんですよ。Aさんがいつ起きるかハラハラしてました。もし死んでしまったらどうしようなんて、言わなかったですけど顔には出てましたね」
クスクスと笑いながら話すしのぶはどこか楽しそうだった。
「何より、無事でよかったですよAさん」
「ありがとうございます……ご迷惑を……」
「とんでもありませんよ。まさかまだ階級に入ってさえ居ない新人隊士が、下弦の陸の鬼の首を切るなんて誰も思わないことでしょう」
「でもあれは……」
「いいえ、あなたの力です。ご立派でした、ごゆっくりお休みになられてくださいね」
そう言い残し去っていくしのぶ。
まさかあそこで鬼の首を半分以上切れるなんて自分も思っていなかった。
ふと、足元にいる不死川を見て頭をワサワサと撫でた。
本当に、この人には感謝してもしきれない。
まだ寝かせてあげようと、Aは不死川に掛け布団をかけるのだった。
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やっとここまで来ました……呼吸を早く使わせてあげたくて仕方がなかったんです。
迷いに迷って心と書いて、しんと読む呼吸にしてしまいました。無難に時でも良かったんですけどそこら辺の理由はたぶん、次の回の主人公ちゃんあたりが話すと思います。笑
ちなみに星雲終月はちゃんとした四字熟語、青雲秋月から取らせて頂きました。
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時