其ノ弐拾 ページ21
不死川side
あれから1週間が経った。
あの日、Aが家に来た時してしまったことを謝り想いを伝えようと決意したが、すぐに任務が入ってしまった。
「クソォ……」
今は夜の11時くらいだろうか。少々片付けるのに手惑い帰宅時間が遅くなってしまった。本当は昼過ぎには帰れていたというのに……そんなことを思いながら今すぐにでも伝えたい気持ちを抑え家へと戻る。
1週間の長い任務だった為、3日間の休暇を貰った。もちろん、Aへの鍛錬も無し。
「……会いてぇな」
ふと口から出た言葉。
それに驚き慌てて自分の口を押さえる。
いま、自分は、なんて言ったのだろうか……。
Aのことを考えると、頭が惚けて脳の反応がおかしくなるのだ。
いつもこうだ。ふとした瞬間にAの顔を思い出し、この前の背中におぶった体温さえ未だに覚えている。あの甘味処での手を添えた時の、薄く色づいた頬と不安がる少し揺れた瞳でさえ、自分の心をきつく苦しいがそれがまた愛おしいというように蝕んでいく。
「………やわかったなァ」
頬に初めて触れた時を思い出して手を眺めまた、ぽつりと呟く。
その"病気"のような症状の原因など、とうの昔に気づいている。
また、それでも素直になれない。
ただでさえ人に伝えることが苦手で、こんな見た目だからいつも勘違いされてしまう。
はぁ、と深いため息をして布団の上に寝そべった。
「……」
天井を見上げ思い耽る。
まさか自分がこんな気持ちを他人に抱くとは思いもしていなかったのだろう。というより、本気で無いと思っていたから予想外すぎるのだ。
「……ったく……色恋で俺が眠れねぇ日がくるたァ思ってもいなかったぜェ…… 」
手を頭の後ろで組み、静かに目を閉じる。
もし、自分が気持ちを伝えたら一体どうなってしまうのだろうか。
到底上手くいくとは思えない。
無難に、好きだなのか?付き合ってくれ、なのか。
考えれば考えるほどわからない。
「……しゃーねぇ……明日宇髄の所に行ってから向かうかァ」
不本意だが仕方がない。そう思い深い眠りについた。
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時