其ノ弐 ページ3
口々に話し出すこの人達。
そう、鬼滅の刃に登場する『柱』だ。
まさか本当にトリップしてくるとは…夢なのか?と疑ってしまう。夢ならばあまりにも生々しすぎる。腰も痛いし……。
「……君は、この世界の人ではないね?」
後ろから優しい声がすると、柱の人達はバッと姿勢を立て直し頭を下げる。
なんとなくそれに釣られて、頭を下げながら返答することにした。
「……は、い……。何故か気がついたら空から降ってここに着いていました……お恥ずかしいことながら……」
あぁ……穴があるなら入りたい……。
たとい鬼が出る世でも、こんな馬鹿げた話などとてもじゃないけど無いだろう。
「私の名前はわかるかな?」
「はい、え、と……産屋敷耀哉、様です」
「そうそう、合ってるよ」
「それは、良かったです……」
前をちらりと見ると、こちらを向いてにこやかに話す耀哉様が。
隣にはちゃんと、本誌で見た子供もいる。
ニコニコしていて本当に仏みたい。全てが浄化されそう……。そんなことを考えているとまた1つ声をかけられる。
「……君は、住む場所がないんだよね?」
「まぁ、そうですね……何しろ生きていく方法すらわからないですし……」
そうだ、生き方もわからなければどこを頼ればいいかもわからない。
そう考えると汗が全身から出るのを感じた。
ふぅむ……と顎に手を当てて考え始める耀哉様。
「ここに暮らすのはどうだろうか」
「宜しいんですか!!」
あまりの返答にテンションが上がって声を大きくしてしまう。
すみませんと言って頭を下げる。
後ろでブフッと笑いをこらえた音が聞こえたのは聞かなかったことにしておこう。
「うん、勿論だよ。君は、鬼の存在について知っているよね……?」
鬼って……あの鬼だよね……
「存じ上げております。あ、でも見た事もないし、実際剣とか握ったことも無くて……」
「大丈夫だよ。後ろにいるみんなが教えてくれるさ」
後ろ……後ろ?
ちらりと後ろを見ると、好奇の目で見られていることに気がついた。
「君名前は?」
「伏見Aです」
「Aか……いい名だね」
そう耀哉様が言うと、みんなも頷く。
こんなにすんなり受けて入れてくれる人達なのか……てっきり小芭内さんとかには嫌われるかと思った。
「……聞こえてるぞ」
声に出ていたらしく、すごい形相で睨まれた。
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時