【鬼滅の刃】時を超える。【不死川実弥】 (ページ12)

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其ノ拾壱ページ12

｢話してくれるの！｣

｢師範から…仲良くしなさいと言われたから……｣

もじもじと話すカナヲにものすごく心が締め付けられる。

なんて…可愛いんだ……。

｢しのぶさんのこと大好きなんだね｣

そう言うと恥ずかしそうに頷く。

｢よろしくねカナヲちゃん｣

｢よろしく…A……さん｣

｢呼び捨てでいいよ～、あ、今度呼吸教えてよ｣

｢いいけど……私教えられるほど……｣

｢いいの！一緒に練習したいの｣

｢わかっ…た｣

ばいばいと手を振り自室に帰るカナヲを笑顔で見送る。

そうだ、蝶屋敷にカナヲちゃん居たんだ。
話してくれるの嬉しいなぁ……。

そう思いながら深い眠りについた。

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それからしばらく不死川さんの鍛錬が続いた。
かれこれあれから２週間ほど経っただろうか、あの優しい一面から一変、鬼のような形相で過酷な鍛錬をし続けていた。

｢オラァ！遅せぇぞォ！｣

ビシバシと木刀で叩かれ足も腕も青アザと切り傷だらけ。

呼吸を整えてまっすぐと姿勢を立て直す。

｢いい顔だァ｣

と言ったのもつかの間、いつの間にか木刀は手から離れて首元に刃を立てられる。

｢おせぇな……もっと早く動けェ｣

｢……はい｣

鬼だよほんとに。動きすぎて口から出そうだもん何かが。手加減してくれてるのはもうめちゃくちゃわかるんだけど、追いつけない。

｢呼吸が足りねぇなァ……前より体の中身の体制を立て直すのは早くなったがまだまだだァ……｣

｢っ……頑張ります……｣

｢……行くぞォ｣

｢えぇ……何処に……｣

｢美味いおはぎ食いてぇんだろ｣

そう言い捨てスタスタ歩く不死川の後をやっとの思いでついて行く。

｢はっ、早い歩くのがっ……｣

｢おい｣

いつの間にか目の前にいた不死川に驚き尻もちをつく。

｢鈍くせぇなァ……｣

はぁーっ、と深い溜息をつき背中を差し出す不死川。

｢……？｣

｢……早く乗れ｣

｢！？｣

｢……早く乗らねぇと蹴り飛ばすぞォ｣

脅されておずおずと背中を掴む。
無理やり足を引っ張られ勢いよく立ち上がる為、バランスを崩しそうになり思い切り抱きついてしまう。

｢あ……ごめんなさい｣

急いで離れると、｢…好きにしろォ｣と声が聞こえた。
彼なりの気遣いなのだろう。

そのまま街の中を歩く為、通行している人にチラチラと見られる。
どこからともなく、｢可愛いわねぇ｣や｢若いって素敵ねぇ｣なんて聞こえて恥ずかしかった。