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ベースの心地よい音色が耳を撫で、目が覚める


窓のない四角い部屋で


足には枷が嵌められ


動かすとチャラ…と鎖が揺れる



音が止まった。



それに気付いたと同時に扉が開かれ、


入って来たのはあいつ。



「はいこれ」


「なんや」


「いいから」


いきなり差し出されたフォークを口に含む


たぶんこれは


「どう?」


「あま…い」


ショートケーキ。


どちらかといえば甘さの強い方。


白いクリームとイチゴのたっぷりのったホールケーキが見えるから、そこから切り分けたのだろう


「口開けて」


満足そうな顔で


表情を変えず


何度も口に運ぶ


2切れ目を手に取る


「あ、もういいねんけど」


目の色が変わる


「まだ」


閉じた唇をこじ開けられ、ねじ込まれる


甘ったるさで腹も胸もいっぱいになる


「いや、ほんまに…これ以上は無理…」


言い終わるより先に


鷲掴みにしたホールケーキを


口の中に押し込まれる


必死に飲み込もうとしても


喉で引っかかり通らない


そんなの食べ切れる訳がなく口から溢れた

.3→←音色に惹かれただけなのに 〜赤・橙〜



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作者名:時音 | 作成日時:2021年7月23日 22時

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