to you .2 (ページ34)

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星に願いを～橙･緑～ページ34

｢おやすみなさいませ。忠義様｣

｢おやすみ｣

扉の閉まる音を聞き
天井を見上げる

いつも以上に眠れないのは

これのせい

〝今夜頂きに参ります〟

白い封筒に包まれた、蝋燭の炎が灯ったかのような仄かな橙色の便箋

どこで誰が何を。

そんな重大な内容一切書かれていない、信憑性も全くないただの紙切れ。

そんなものに父は過剰に反応して、金庫や宝物庫はもちろん、財閥の重要な書類や廊下に飾られた絵画、ブランド物の肥やしにまで、可能性のあるもの全てに警備を付けた。

あちらさんがもうちょっと細かく書いてくれたら、こんな無駄金使わなくて済んだのでは。と、1人夜空を眺める。

この部屋に警備がいないのは、俺が拒否したのもあるけど、主には父が俺に興味がないから。

部屋には豪華な装飾や高価な代物はほとんど置いてない。弟らの部屋にはあるんやろな。

唯一母親の違う俺は長男でありながら、この家の相続権はなく、両親からの愛情もなく、貼られたレッテルだけで生きている。