煉獄さんはむつかしい

38話 ページ39

『うっまぁ…！』
千寿郎くん、君天才か。



千寿郎くんの作ったご飯を食べました。




昼ごはんまでちょっと時間があったので、杏寿郎が食べる前に私達は食事を摂ることにした。





『これ凄い美味しいです！すごい！千寿郎くんがこんなにお料理得意だなんて知らなかったです。』






「ありがとうございます。

…………実は、Aさんの料理の腕に追いつけるようにこの一ヶ月間一生懸命練習したんです…。」




照れながらも嬉しそうに千寿郎くんは微笑んだ。



可愛すぎますね。
しかし先程のようにいちいち吐血してたら体内の血が尽きるのでやめます。





二人共食べ終わり、ちょうどお昼の時間になったので、杏寿郎の病室に昼ごはんを持っていく。



杏寿郎はとうとうこの時が来てしまったっていぅ顔で私のことをじぃーっと見てた。





え、何その顔。


ひどくね？






杏寿郎の寝台の横に丸椅子を置き、匙を握る。




『では、始めさせて頂きますね？』

「…………うむ」




うわぁ、歯切れ悪い答えだなあ

杏寿郎にしては珍しい。



千寿郎くんの作ってくれた美味しいご飯を匙で掬い、
杏寿郎の口元に差し出す。




『はい、あーん…』


「………ちょ……まっ、待ってくれ‼少し、あの、と、整える！」



杏寿郎が顔を赤くしてぷいっと後ろを向いた。
　
は？

整える？

何を？

大丈夫か？


しばらくして、覚悟を決めた顔でこっちを振り返り、私を見た。
　
「…よし。お願いする！」


　
あ、整いました？(何が？)
　
そりゃあ良かった。(何が？)




『はい、じゃあ、あーん』
　
「…すまないが、その、あーんと言うのを止めてもらってもいいだろうか！」
　
『…うるさいな、早く食べてよ』
「……………………うむ。」




杏寿郎は顔を頬を赤くして、ほんの少しだけ口を開けた。




『ごめんだけど杏寿郎。もっと口開けてくんないと入んない。』
　
「……よし！……これでどうだ！」

『完璧。はい、あーん』







…はむっ


私の持っている匙に少しの重みが加わり、杏寿郎が匙を咥えたのが分かった。



やっと食べてくれた。

　
…………てか杏寿郎こうやって見たら、すごい唇の形綺麗だな。


うらやましいと思って見ていると、杏寿郎が戸惑った顔で訴えてくるので我に返った。

杏寿郎の口から匙を抜く。



恥ずかしいのか、少し目を伏せながら頬を赤くし、もぐもぐ一生懸命咀嚼する杏寿郎が可愛くて

ちょっといじめたくなっちゃった！えへ！

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