M!LKで桃太郎其の弐 (ページ16)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:3,542 hit

第五話ページ16

辺りを海に囲まれた広大な敷地を持つ島国、名を中津国。
ある日突然、この中津国に鬼と呼ばれる人ならざるものが現れました。
頭部から角を生やし、強大な体躯(たいく)、鋭い爪や牙。
人の使うどんな武器をもってしても、鬼に敵うことはなく、人知を超えた人の力など及ばぬ存在だったのです。
そして、鬼は人間を喰らう為、どこからともなく現れて、この中津国を蹂躙(じゅうりん)しておりました。
人々はただ鬼の食事が終わり、過ぎ去っていくのを待つしかありません。
そう、人々はただただ鬼に怯える日々を送るしかなかったのです。

しかし、そんな鬼を全て抹殺するため、一人の青年は唯一鬼の首を斬れる刀を手に、旅を続けておりました。
けれどそれは、決して、中津国の人々を救うことではございません。
自分の親も同然の二人を鬼に殺されてしまった恨みつらみを晴らさんがために、青年は刀を振るうのです。
その復讐心は、鬼に出会うたびに膨れるばかり。
幾度となく鬼の返り血を浴び、鬼に傷つけられながらも、彼は今日も鬼を斬っておりました。

舜太「死ね！！！」

舜太の周りを数匹の小さな鬼が取り囲み、そのうちの一匹の首が飛ぶ。
真っ赤な血が噴き出し、それを浴びて、舜太はさらに刀を振るいました。
けれども多勢に無勢、背後から別の鬼が舜太を狙っております。

仁人「舜太殿！危ない！！」

しかしながら、舜太も一人ではございません。
腕の立つ医者であり、家臣という位置づけで舜太のお供をしております、名を仁人と申す彼は、手に持った長物の槍を突き出し、鬼の体を貫いておりました。