M!LKで桃太郎其の壱 (ページ47)

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帝に化けた鬼が打ち倒されてから五日。
都はほんの少し、以前のような活気を取り戻したような気がしました。
人々は互いに笑いあい、陽の光さえ遮断する防壁を、少しずつ取り壊しているのです。
これが無くなる頃には、きっと元の明るい明安京に戻っていることでしょう。

そして、貴族街のある通りに、一人の若者が青い小袖を揺らしながら、小走りで駆けておりました。

「どいてどいて！」

若者は大層な荷物を風呂敷に包んで抱え、道行く群衆をかき分けて進んでいきます。
向かう先には、昨晩取り壊された都の出口が。
そこに、都に背を向けて去っていく二人の人影。
彼らは、この都を救った英雄として、この五日間大層もてなされたと言います。
けれども、彼らはとある目的の為、今日この都を立ち去るところでした。

仁人「もうよいので？せっかく美味しいご馳走をまだまだ頂ける機会でしたのに」

舜太「もう俺にこの都にいる意味なんてないよ。そんなにいたけりゃあんた一人残ってれば？俺は別に付いてきてくれだなんて思ってないし」

仁人「またそんなことを言って。私がいなければ、舜太殿はあの鬼に勝てなかったでしょう？」

舜太「む……」

そんな風にいつものやり取りを繰り返し、彼らは都の門をくぐりました。

「おーい！待ってよ！」

しかしその時でした。
彼らを呼び止める、明るく元気な声が聞こえたのです。