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太智「だから、
太智は転がるように商店の床に伏せると、額を床に付けて、舜太に向かって土下座をとったのでした。
舜太「……。断る……」
太智「そんなこと言わずに、お願いだよ!必ず返す!あいつを殺せれば、おいらの家のもの全部持って行ってくれていい!だからこの通り!」
床に穴が開くのではないかというほど、太智は額を床に打ち付けて舜太に懇願しました。
その脇腹からは、血がぼとぼととしたたり落ちています。
けれど、舜太はそんな太智に背を向けて、商店を出ていきました。
舜太「これは俺の大切な刀だ。お前みたいな他人にみすみす渡さない」
そして、そのまま目にも留まらぬ速さで商店の前からいなくなったのでした。
太智「ま、待って!!く、くそ……。やっと……やっともとの都に戻ると……そう思っていたのに……」
仁人「太智殿……。安心召されよ……。舜太殿はああ見えて、結構優しいところがあるのです……」
太智「え……?」
仁人(頼みましたぞ……舜太殿……)
―
帝の屋敷 御前
立て直された御簾の奥で、帝に化けたこの鬼は、月に一度の食事の為、般若の面を外し、子供に迫っておりました。
帝「ふははは、怖がることはない。さっきは邪魔が入って興が醒めてしまったが、今度こそお前を頭から喰ろうてやる」
母親「おやめください帝様ぁああ!!お願いいたしまする!!」
御前で泣き叫ぶ母親をよそに、鬼はじわりじわりと子供に近づき、その大きな口を広げました。
そして、その毒牙がまさに子供の頭に喰らいつく、その時。
帝「!!」
帝は何かの気配を感じ、後ろに飛びのきました。
刹那、鋭い刃が首をかすめるのが見えたのです。
帝「余の首を狙った……?何奴だ……」
舜太「俺は……お前を斬る!!」
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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月12日 18時