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舜太「盗人どこだこらあああ！！！」
誰もいない都を駆ける舜太。
いくら大声を上げても、屋敷や商店から顔を出す人は誰もいません。
貴族が住まうであろう大きな屋敷も、今や廃墟のように静まり返り、かつては澄み渡って多種多様な魚が泳いでいた川の水も、沼のように濁り切っておりました。
舜太「きったない川……。俺が住んでた山じゃ考えられないな。それに空気も悪いや……」
仁人「えぇ……。こんな場所ではなかったのに……」
かつての面影もないすっかり様変わりしてしまった華の都。
誰もいない暗い貴族街を疾走する二人。
仁人「っ！？」
しかしその時、仁人は都の中心、帝の屋敷の方向を振り返りました。
舜太「どうした？」
仁人「新しい血の臭い……？！それにこの匂い……。あの太智というものの匂い？」
舜太「え？！どっから？！」
仁人「ここから見えるあの高台の上にある帝様の屋敷からでございます！」
舜太「よっしゃ！早く行こう！」
仁人「ええ！いや、ちょっと待ってください……。太智殿の匂いが、どんどん近づいて……？」
けれど、帝の屋敷へ向かおうとした瞬間、二人の上空から土埃ともに何かが降ってきたのです。
舜太「げっ？！何だこれ？！」
それは丁度舜太の真上に降り注ぎ、舜太の体はその何かの下敷きになってしまいました。
仁人「あー舜太殿？手を貸しましょうか？」
舜太「いや……大丈夫……。にしても何だこれ？！この都はどうなってるんだよ……」
仁人「こ、これは……！」
その時、仁人が目にしたのは驚くものでした。
舜太の上に振ってきたもの、それは―
仁人「太智……殿？！」
土埃にまみれ、手には舜太から奪った刀を手に、腹から血を大量に流した太智が舜太の上に降ってきたのです。
舜太「あっ！盗人！俺の刀！！」
仁人「言ってる場合ですか！なんてひどい怪我……！すぐに手当てをいたしましょう！」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年7月12日 18時
