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帝「頭から喰ろうてやろうぞ……」

その子供を喰うことだったのです。

「待てええええ!!!」

しかしその時でした。
屋敷の御前に、突如誰かが舞い降りました。
青い小袖に身を包み、手には鋭い刃を覗かせた刀を手に持って。

帝「誰じゃ……。余の食事を邪魔する奴は」

太智「覚悟しろ……帝!今日でお前の悪事も終わりだ……!ようやくお前を殺せる武器を手に入れた!」

帝「何だと……。余を殺す……?ふははは……笑わせよる……」

旅人から奪い取った、否、借用した鬼を斬れるというこの刀。
これを使い、この帝を斬ることこそ、この太智の本懐(ほんかい)
そして今日、その刀をもって帝に切先を向けたのです。

太智「さ、さあ!覚悟しろよ!」

帝「ふはは……。どうした?遠慮はいらぬ。ほれ、余を斬ってみよ」

太智「あ、あぁ!言われなくても……」

帝「威勢はいいが、震えておるぞ?刀を振るったこともない青二才が……この余に盾突こうなぞ、笑止千万!万死に値する愚か者め!」

帝の住まう御簾が勢いよく吹き飛び、中から般若(はんにゃ)の面をかぶった男が現れました。
この男こそこの明安京の帝。
明安京どころか、この中津国全土に多大な影響力をもたらす偉人です。

太智「っ!」

帝の顕現(けんげん)により、その威圧感が辺りを包み込みます。
重くのしかかるその圧に、太智は体が動きません。
折角かような武器まで手に入れたのに。
恐怖で足がすくんで動けないのです。

帝「愚かな奴よ。死ぬが良い!」

次の瞬間、帝の面の口がぱかりと開き、舌が鋭い槍のように伸びて、太智の脇腹を貫きました。

太智「あっ……ぇ……」

更に引き抜かれた傷穴から夥しい血が噴き出し、太智は痛みのあまり絶叫を上げてその場に(うずくま)るしかできません。

太智「ぅぐっああああ?!」

帝「ふははは。目障りな反徒め。余の前から消え失せよ!」

そして、帝の腕のたったひと振りで地面を(えぐ)る衝撃が起こり、太智の体は落ち葉のごとく屋敷の外まで吹き飛ばされたのでした。

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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月12日 18時

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