ベルモット 118 ページ22
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すぐさま煙草を突き刺した本人であるジンをムッと睨むと、ジンはジンでウエイターを睨んでいた。
「何の真似だ…?」
「は?」
ジンの意味不明な言葉に戸惑うウエイター。
アイラからしたら全く同じ言葉をジンに言ってやりたかった。せっかくのパフェなのに。
「どういう了見だと聞いてるんだ……」
答えようとしないウエイターが気に食わなかったジンは、ウエイターの頭を鷲掴みテーブルに頭をぶつけさせ、すぐ側にあったピックをウエイターの頭に向かって振り下ろした。
「!!」
アイラは次に見える光景が分かってしまい慌てて両手を自分の顔に当てて目を瞑ったが、ジンの次の言葉で呆気にとられた。
「ベルモット!!!」
「Oh!
「……へ」
顔を覆ってた指の隙間から目の前を見ると、いつの間にかウエイターの格好をしたベルモットが立っていた。
テーブルに目をやるとさっきのウエイターの顔を型どった布にピックが刺さっている。
(あぁ……ベルモットの変装だったのか、全く……心臓に悪い)
「それより例の探し物は見つかったのか?」
アイラが1人で納得している間に話が進んでいたらしく、ジンに聞かれたベルモットはアイラの後ろに立ち、アイラの結んでいた髪をほどき櫛で解き始めた。
「そうね…本命はまだって所かしら」
「本命って…?そろそろ教えてくださいよ、どこで何をやってるか」
ウォッカと会話をしながらベルモットはアイラの髪をセットし直し、今度はジンの元へ歩いて行った。
「無駄だ、この女のくだらねー秘密主義は今に始まった事じゃねぇ」
「あら…女は秘密を着飾って美しくなるのよ?」
(出た、いつものベルモットの言葉)
結局いつもそれではぐらかして終わりなのだ。
ジンもアイラと同じ事を考えていたのか「ヘドが出るぜ」と呆れていた。
しかしベルモットは気にしていないらしくジンの肩に手を置いてグッと距離を縮めた。
「ねえ、そんな事より……どう?今夜。久しぶりにマティーニでも作らない?」
「マティーニを、ですかい?」
色っぽく呟くベルモットにウォッカが尋ねる。
「知らないの?ジンとベルモットが交われば……」
(あ、カクテルの事か。ってことは……ジンとベルモットってそういう関係だったの?)
意外だな、と思っていると頬を少し赤く染めたベルモットとは正反対にジンはフン、と冷たく鼻で笑った。
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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時