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おつかい 109 ページ13

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「うわ、本物の警視庁だ……なんかヤダ」


ローラースケートのおかげで遅れた時間を巻き返して警視庁に着いたAは、嫌だと言いつつもパシャリと写真を1枚撮った。

ドラマやアニメで良く警視庁を見ていた為、聖地に来ているようで嬉しかったが、いざ中に入るとなると仮にでも組織の1員であるAにとって少し気が引けた。
……何より真下から見上げた時の建物の威圧感が凄い。

まあでも自分が届けると言い出した訳だし、このまま突っ立っていると目立ってしまうので気合を入れて中に入ろうとしたその時。


「AAさんですか?」


入口の前にいた男の人に声を掛けられた。


「はい……」

「公安の風見裕也です。念の為、ここに来た理由を教えてもらってもいいですか?」

「あ、えっと、れ、降谷零の忘れ物を届けに」

「分かりました、では着いてきてください」


そう言って風見という男の人は入口には入らず、警視庁の裏に回って行ったのでAは慌てて追いかける。

(風見……零が電話で言ってた部下の人か)

黒縁の眼鏡を掛け、少し緑の入った色のスーツを着た男の人。
公安というだけあってスーツの上からでもガタイが良いのが分かる。
……零は分かりにくいけどね。

(前に暑い日、零がお風呂上りにズボンだけで出てきた時は驚いた……)

零もあんなに筋肉あったとは。あの時は綺麗に腹筋が割れてて少し感動したな、なんてくだらない事を思い出していると正面の入口から少し離れた、人気のないもう1つの入口があった。


「建物に入る前にこちらのバッジを付けてください」

「あ、はい」


見た感じ警視庁に入るための許可証なのであろうバッジを、指示に従って胸元に付ける。


「こちらへ」


風見に促されてようやく建物の中に入り、エレベーターに乗る。
零の部下と2人きり……無言が続くエレベーターの中、Aは少し気まずいなと思っていると風見もそう思っていたのか口を開いた。


「……降谷さんはいつも家ではどんな感じなんですか?」

「え?えーっと……優しくて、ご飯が美味しくて……あと悩み事があったらすぐに気づいて相談に乗ってくれたり……とにかく優しいです」

「そうなんですか……部下の僕からは想像もできないです。
…愛されてるんですね」

「そ、そうなんですかね……えへ」


愛されてる、と言われてAはとても嬉しくなりふにゃりと笑う。
その笑顔に不覚にもキュンとした風見は、咳払いをして心を落ち着かせた。

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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時

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