・ ページ10
・
翌朝、目が覚めると珍しく隣に佐久間さまの寝顔がない。
いつも夜更けに忍び込んで……
いやいや朝から思い出すのはやめよう。
火照りかけた頬を手で仰いで熱を冷ましてから、布団から出る。
寝着のまま障子を開けて朝の空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
「んーーーー!んん?」
「………おはよ」
伸ばしていた腕をそのままで、廊下で座っている佐久間さまを見下ろした。
「え、もしかしてそこにずっと?」
「アイツの部屋出てからね」
そうだった。佐久間さまと翔太さまがくだらない言い争いを続けるものだから、放って置いて先に寝たんだった。
「寝てないんですか?」
隣に座って顔を覗き込むと、チラッと向けられた目の下はくまが出来ていて、肌が白いから目立つ。
そっと指で触れると、ふにゃりと強ばっていた表情を崩した。
「Aが怒ってると思って」
「……それでずっとここに?」
「うん」
そんな昨日は結構冷え込んだのに。
顔から腕に手を滑らせると着物はひんやりとしていて、部屋に入れずぶるぶる震えていた佐久間さまを想像して辛くなってしまった。
「こんなに冷えて。怒ってないから、お部屋に入って?」
「A〜っ」
「うわっ」
迷子になっていた飼い犬が飼い主を見つけて飛びついてきたみたい。鬼だけど。
ガバッと抱きつかれて、佐久間さまの胸に顔が埋まる。
ふふ、なんだかんだ言って、私もこうされて落ち着いてしまうんだから怒るなんてとんでもなくて。
手を佐久間さまの背中に添えたら、頭上から「にゃはは」と嬉しそうな笑い声がして、私もつられるようにして笑った。
ぽふんと、そのまま敷きっぱなしだった布団の上へ。
「私は起きるンですけど?」
「んー、少しだけ一緒に寝て。Aあったかいんだもん」
「………」
頬を擦り寄せ、足を絡めてくる。
へらっとした笑顔を見ていたら、こちらまでうとうとしてしまって、ああヤバいなぁ。
「ほんとムカつくなぁ…」
「ふふ、可愛いじゃない。子猫が戯れて眠ってるようで」
「はっ、どこがだよ」
通りすがりの翔太さまと舘様の声が聞こえた気がしたけど、二人ってこんな砕けた話し方していたっけ?
てか起きなきゃ…と思うのに、私の意識はそこでまた途絶えた。
.

1799人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時