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「お前が吐かねえなら、こっちにも考えがある」
「!?」
え、なんかこっちに来るんですけど。
目の前に立った男の人は、ニヤリと笑う。
え、怖い。
手の出せない女相手に何をしようというのか。
「うわっ!」
「きゃっ!」
私に影がさした時、後で悲鳴が上がる。
なんだと男が振り返ると、縛られたままだけど近くに居た男の着物にかぶり付きビリッと破いた切れ端を咥えてる翔太さまと目が合った。
「なっ、!」
「ペッ! おい、そいつに指一本でも触れてみな。そん時は容赦なくいかせてもらう」
ギラりと光る眼光と、翔太さまを纏う空気感が一気に変わると、周りに居た人達は一斉に身を引いた。
翔太さまのあんな怒った顔は初めて見たかもしれない。
「はいはーい! ちょっとごめんなさいねー」
凍り付く空気の中、ひょいっと現れた男に場の空気はまたしても変わった。
誰か存じませんが、ありがとうと言いたい。
ついでに助けてくれると嬉しいです。
「て、あー!亮平さん!?」
「うふふ、お久しぶりです。A」
にこにこと笑いながら庭に入って、私たちと村人の間に入ってくれたのは、以前鬼退治を共にやった阿部家の亮平さんだった。
私の縄を解いて「痛かったね」と、赤く跡の残った手首を撫でてくれる。
「亮平さ〜んっ」
佐久間さまがここに居たら、きっとすっごく尻尾振ってクンクン鳴いてるに違いないから、代わりに私がやっておく。
よしよしと頭を撫でてくれるからホッとしていたら、村人の一人が亮平さんの襟首を掴んで持ち上げた。
「おいっ、なに勝手に解いてんだ!」
「…はあ、あなた方までこんな手荒な真似をしてどうするんですか?」
肩に手を置かれて"大丈夫"と笑顔を向けられる。
ここは任せた方が良さそうだ。
「私はこの村の少し先にある茶屋犬屋の阿部と申します。お腹が減っては上手く纏まる話しも纏まらないでしょうから、さあさあまずは団子でも食べませんか?」
庭の入口に置いてある大量の団子はこのためだったのか。
確かにお腹が減って、気が荒くなってる人達はなんでも疑ってかかるから、とりあえず団子でも食べてもらおう。
私もお腹が空きました。
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ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (2020年12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時