【銀魂】口悪姉さん【坂田銀時】

わたあめ食うと顔パキパキになる ページ16

まだ、少しだけ震えてる腕を抑える。
ため息を大きく吐いてから、空をまた見上げた。



その時、


「おい！…あ？お前はあの時の」




声の主は、そよ姫捕獲作戦の時に真っ先に喧嘩を売ってきたタバコ臭い野郎だった。

何故ここに、というセリフからして見廻組のことは知らないらしい。

にこっ、と笑いかける



「私も一応、そよ姫の護衛ですので」

「…そうか。今そっちに高杉という眼帯の男を見なかったか」


…今のは見られなかったか。

「いえ、知りませんね。こっちはロボットと…」





あと花火ぐらいですよ、と我ながら上手い作り笑いができたんじゃないかと思う。



「ロボットは片付きましたか？」

「あぁ、さっき万事屋が…」

「万事屋？」

「や、気にしなくていい。お前はこれからどうするんだ」

「帰りますよ。仕事も早く終わりましたし、定時帰り出来そうです。」

それでは、とその場を後にする。
どうやらバレてはいないようだ。

…ならいい。高杉も逃げたみたいだし




「…ふ、」



『あの日、私を置いていったのはあんたらじゃん』

なんて、思ってたのか私は…






遠くに聞こえる祭囃子
微かな甘い匂いは、綿あめだろうか


綿あめ、それだけであの男を思い出してしまう。

わたあめみたいな髪をしたあの男を、私はまだ忘れられない。



もし会えたなら私はなんて言うんだろう。
高杉にあってから、ますますそれが分からなくなった。



『なぁなぁ先生のお使いさぁ、寄り道してもいいよな？』
『じゃあ、わたあめ食いに行こうぜ』


『おーい、A！』




本当に、何も、忘れられてない。









「…A？」

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