「もう他人じゃない」【降谷零】

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甘えるってなんだろう…？

安室さんはそれから一言も喋らなくなってしまったし、車内はさっきよりもずっと重い空気が漂ってた。


私のせいだ…
友達じゃないなんて言わなきゃよかった。

だって安室さんは私の事を友達と思ってやっくれたことなのに、私はまたそれを全部否定してしまったんだ。


だってこんなに自分だけ特別扱いされたのが初めてだから…



うんうん、と考えてるうちに着いてしまった。
本当にあっという間だ


やっぱり安室さんは先に降りてドアを開けてくれる。


「ありがとうございます…」

そう言うとニッコリ笑った。
この笑い方…

「では、おやすみなさい」




甘える…
甘えるって何？

何か、友達らしいこと
友達らしい…ことって




「安室さん！！」

服の裾を引っ張った。
驚いている安室さん。


甘える…
甘える…



「う、うち、寄っていきますか！！」

「…はあっ！？！？」


「甘えるって、分からない、けどっ、友達ってほら、家に誘ったりするじゃないですか…！！だ、だから私、」

「ちょ、ちょっと、Aさん！」


あ…
安室さん、顔真っ赤だ。

こんな焦ってる安室さん初めてみた。



「た、確かに僕は甘えろと言いましたけど！！
し、深夜に男を家に誘うのはチョット…」


…え！？

「い、いや、そういう意味じゃ！！」

今度は私が真っ赤だ。
あーもうやだ。甘えるって難しい。



「ぶはっ！くくくっ…
ほんと、もう…適わないなぁ…」


笑ってる…
少し喉を鳴らしながら笑う、笑い方…これは安室さんの自然な方の笑い方だ。





「…ふふ、すみません。甘えるって難しいですよね」

僕もです、と言った。
安室さんも…




「私、知りませんでした」




前世の誕生日は日が近い他の兄妹達と一緒に祝った。楽しかったけど、皆の日って感じで

今は病院の日って感じだったから




「誰かに、特別扱いされるのがこんなにも嬉しいなんて知りませんでした。」


今はもう、お姉ちゃん達はいない。
あの時の家族にはもう会えない。

ココ最近ずっとその事ばっかり考えたのに、悲しい気持ちが一気に幸せに変わった。




「安室さんのおかげです。ありがとう」


今度は私から彼を抱きしめた。
すごく照れくさかった。だけどこれ以上に思いを伝えれる手段が思いつかない




数秒後、ゆっくりと手が背中に回る。







「生まれてきてくれて、ありがとう。」





その言葉に、ちょっぴり泣いてしまった。






第3章 END

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