【HQ】常連さん【松川一静】 (ページ33)

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薄暗い中、徹くんと目が合う

彼の綺麗な顔立ちに、思わずドキッと心臓が跳ねる。

「…ごめん、徹くん」

ぱっ、と体から離れようとすると、腕を掴まれた

「？」

及川「ちょっと、抜けない？」

小声で徹くんはそう私に言った。

「抜ける…って？」

そう言うと、徹くんは人差し指を口に当てる仕草をしながら、足音を立てずに皆んなの背後にあるドアまで行った。

小さな音でキィ…とドアの開く音が聞こえたけど
それよりもテレビの音が大きいので皆んなには聞こえていない。

彼はドアの向こうから手招きをする

少し緊張したけど、私も無事ドアの向こうまでたどり着いた。

______

及川「あ～怖かった」

「ほんと、怖かったね」

及川「はい、お茶」

「ありがとう」

私達は一階のリビングへと避難した。

徹くんが、コップに冷たいお茶を入れてくれる

「でも、抜けてもすぐバレるんじゃ…」

及川「だろうね笑」

誕生日なのに最悪だよほんと～と、
笑いながらお茶を流し込む徹くん。

私がそうだね、と笑うと

及川「てかさ！」

徹くんは前のめりで私に声をかける

及川「Aちゃんって、まっつんの事好き？」

…え？

フリーズする私を見て、「この話がしたかったんだ！」と徹くんはニコニコ笑っている

なんて言うべきか。

素直に言うべきか。

思考を巡らせるも、「Aちゃん分かりやすいよ？」と畳み掛けられては、

「…そ…うです」

私も嘘はつけない。

及川「やっぱり！！！そうだと思ったんだよね」

「こ、このことは秘密に…！！！」

及川「わかってるって。」

「てか私、そんな分かりやすい…？」

及川「だいぶね。しかもまっつんも結構鋭いから、もしかしたら気付いてるかもね」

「…」←そっと窓から飛び降りようとする

及川「ちょ、やめて！早まんないで！てかここ一階だから怪我すらしないよ！！」

「どどどどうしよう！！！恥ずかしくて死ぬ！！」

及川「もう気持ち伝えちゃいなよ☆」

呑気にウインクをする徹くん。

そんな急になんて言えないよ！
と私がそう言うと、「嘘だよ」と彼は笑う。
だけどすぐ、「でもまぁ…」と続けた彼は

「Aちゃんの恋のキューピットになってあげるよ！」

と、私に言った。